正常粘膜から特異な活動性出血を呈した消化管出血の3例―抗凝固療法とangiodysplasiaに関する考察
要旨:抗凝固療法中に著明な貧血に至る下血をきたし, 一見正常な粘膜から糸状に持続的に出血する特異な出血様式を呈した3例を経験した. いずれもアルゴンプラズマ凝固療法にて止血可能であった. 病理学的な確定診断は得られないが, 粘膜損傷をともなわないことからangiodysplasiaによる出血と診断した. 同様の出血形態のangiodysplasiaについて, また抗凝固療法との関係について文献的に考察をした. 「緒言」心疾患や脳血管性疾患の予防あるいは治療として抗凝固療法や抗血小板療法が行われる機会が増加しているが, 同時にこれらは消化管出血の危険性を増加させる1). 出血源として必ずしも潰瘍...
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Veröffentlicht in: | 日本消化器病学会雑誌 2009, Vol.106(6), pp.813-819 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 要旨:抗凝固療法中に著明な貧血に至る下血をきたし, 一見正常な粘膜から糸状に持続的に出血する特異な出血様式を呈した3例を経験した. いずれもアルゴンプラズマ凝固療法にて止血可能であった. 病理学的な確定診断は得られないが, 粘膜損傷をともなわないことからangiodysplasiaによる出血と診断した. 同様の出血形態のangiodysplasiaについて, また抗凝固療法との関係について文献的に考察をした. 「緒言」心疾患や脳血管性疾患の予防あるいは治療として抗凝固療法や抗血小板療法が行われる機会が増加しているが, 同時にこれらは消化管出血の危険性を増加させる1). 出血源として必ずしも潰瘍, 腫瘍, びらんなどが確認されるとは限らず, 出血源が同定できない場合もしばしば経験される. また高齢者や心疾患などの合併症を背景に消化管出血の原因としてangiodysplasia(AGD)も重要な出血性疾患としてあげられる. AGDは粘膜血管奇形と考えられ2), しばしば粘膜面の発赤や毛細血管の拡張としてとらえられる. |
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ISSN: | 0446-6586 1349-7693 |
DOI: | 10.11405/nisshoshi.106.813 |