血清アルブミン低値の女性に発症したピラジナマイド(PZA)による劇症肝炎の一例
症例は61歳, 女性. 入院時アルブミン値は2.28g/dlであった. イソニアジド(INH), リファンピシン(RFP), エタンプトール(EB), ピラジナマイド(PZA)による肺結核短期化学療法開始後36日目より, PZAによる薬剤性肝障害を発症した. 劇症肝炎亜急性型に至ったが, 血漿交換療法, ステロイド静脈内注射, グルカゴン‐インスリン療法などを行うことによって治癒し得た. PZAによる重篤な肝障害は高齢者, 低アルブミン血症患者, アルコール多飲を有する患者は高危険群と考えられ, また, 投与開始から1カ月以降に突然発症する場合があり, 危険因子を有する患者に対してPZA投与す...
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Veröffentlicht in: | 日本消化器病学会雑誌 2005, Vol.102 (5), p.589-594 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は61歳, 女性. 入院時アルブミン値は2.28g/dlであった. イソニアジド(INH), リファンピシン(RFP), エタンプトール(EB), ピラジナマイド(PZA)による肺結核短期化学療法開始後36日目より, PZAによる薬剤性肝障害を発症した. 劇症肝炎亜急性型に至ったが, 血漿交換療法, ステロイド静脈内注射, グルカゴン‐インスリン療法などを行うことによって治癒し得た. PZAによる重篤な肝障害は高齢者, 低アルブミン血症患者, アルコール多飲を有する患者は高危険群と考えられ, また, 投与開始から1カ月以降に突然発症する場合があり, 危険因子を有する患者に対してPZA投与する場合, 厳重な肝機能検査の観察が必要である. 現在肺結核標準治療として, イソニアジド(INH), リファンピシン(RFP), エタンブトール(EB)またはストレプトマイシン(SM)の3剤に加え初期2ヵ月間にピラジナマイド(PZA)を加えた6ヵ月間の初期強化短期化学療法が行われている. PZAを用いた治療は, 従来, 肝障害の副作用が問題とされており, PZAを加えた場合, PZAを加えない場合と比べ, 肝機能障害の発現頻度には有意差は認められないものの1)~4), より重篤化し得る可能性が示唆されている3). |
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ISSN: | 0446-6586 |