膵臓学の推移

「1. 本学会発足までの膵に関する事項」 膵という臓器を初めて認識したのは, ギリシア人と思われる. Aristotle (384-322 B.C.) の動物誌1) に確かにπαγκρεαsという字があるが, その前にκαλονμενον (いわゆる) という字がおかれており, 当時すでに膵が認識されていたが, 正式な解剖学的用語でなく俗称としてパンクレアス (パン=すべて, クレアス=肉) と呼ばれていたのであろう. 膵の語源について, これまでの教科書2) 3) や論文4) が, Herophilusが初めて膵を記載し, Rufusによって名づけられたとしているが, Herophilus...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1998, Vol.95 (suppl-2), p.226-232
1. Verfasser: 土屋凉一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 本学会発足までの膵に関する事項」 膵という臓器を初めて認識したのは, ギリシア人と思われる. Aristotle (384-322 B.C.) の動物誌1) に確かにπαγκρεαsという字があるが, その前にκαλονμενον (いわゆる) という字がおかれており, 当時すでに膵が認識されていたが, 正式な解剖学的用語でなく俗称としてパンクレアス (パン=すべて, クレアス=肉) と呼ばれていたのであろう. 膵の語源について, これまでの教科書2) 3) や論文4) が, Herophilusが初めて膵を記載し, Rufusによって名づけられたとしているが, Herophilus (330/320-260/250 B.C.) が書いたもので現在残っているもののなかには, 膵に関して記述したものはみられない5). しかしGalen (129-199 A.D.) はその論文De Semineで, 胃液と胆汁に言及し, 唾液に似た粘稠な液が, そこにあるほかの腺から分泌されるが, これを初めて研究したのがHerophilusであるとし, あたかも膵液についてHerophilusが検討したかのごとく記載している5).
ISSN:0446-6586