抗リン脂質抗体症候群を合併した自己免疫性肝炎と考えられる1症例

自己免疫性肝炎(AIH)は各種の自己抗体陽性, 高ガンマグロブリン血症を特徴とする慢性活動性肝炎で1)~3), しばしば潜行発症する. 一方, 抗リン脂質抗体陽性で動静脈血栓症, 習慣性流産などを伴う場合, 抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断される4). これまで, 両者が合併した症例はほとんど報告されていない. 今回われわれは, APSを合併したAIHの1例を経験したので報告する. I症例 症例:57歳, 女性. 主婦. 主訴:痙攣重積状態による昏睡. 既往歴:アレルギー性鼻炎のため1990年より抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイドの合剤を内服中である. 2回妊娠し, いずれも正常分娩してい...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1997/10/05, Vol.94(10), pp.695-699
Hauptverfasser: 永山, 和宜, 泉, 並木, 渡辺, 秀樹, 斎藤, 一典, 宮坂, 有香, 野口, 修, 星野, 裕治, 内原, 正勝, 三宅, 祥三, 沢辺, 元司, 榎本, 信幸, 田中, 雄二郎, 丸茂, 文昭, 佐藤, 千史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:自己免疫性肝炎(AIH)は各種の自己抗体陽性, 高ガンマグロブリン血症を特徴とする慢性活動性肝炎で1)~3), しばしば潜行発症する. 一方, 抗リン脂質抗体陽性で動静脈血栓症, 習慣性流産などを伴う場合, 抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断される4). これまで, 両者が合併した症例はほとんど報告されていない. 今回われわれは, APSを合併したAIHの1例を経験したので報告する. I症例 症例:57歳, 女性. 主婦. 主訴:痙攣重積状態による昏睡. 既往歴:アレルギー性鼻炎のため1990年より抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイドの合剤を内服中である. 2回妊娠し, いずれも正常分娩している. 輸血歴はない. 家族歴:父が脳出血で死亡している. 肝疾患, 自己免疫疾患の家族歴はない. 生活歴:飲酒喫煙ともしない. 現病歴:1996年4月28日, 突然痙攣重積状態となり意識消失し, 当院脳神経外科へ緊急入院した. 頭部CT上, 右側頭葉皮質下に出血病変を認め(Figure1), 複数の脳梗塞巣を認めた.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi1964.94.10_695