動注化学療法が奏効した腹膜悪性中皮腫の1例

腹膜原発悪性中皮腫の報告例は, 本邦では比較的少ない. 治療はcisplatin(CDDP)などの静脈内, 腹腔内投与による奏効例1)~3)が散見されるが, 長期予後は必ずしも良好ではない. 著者らは, CDDPの動注化学療法が奏効したと思われる腹膜原発悪性中皮腫の1例を経験したので報告する. 患者:32歳, 女性. 主訴:発熱, 腹部膨満感, 体重減少. 既往歴:23歳時に虫垂炎にて虫垂切除術. アスベスト粉塵の吸入歴なし. 現病歴:1994年7月, 弛張熱のため当科受診. 腹部超音波検査にて腹水および左卵巣腫大を認め, 精査目的で入院となる. 入院時現症:身長162cm, 体重45kg....

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1997/06/05, Vol.94(6), pp.445-449
Hauptverfasser: 東田, 元, 矩, 照幸, 小坂, 星太郎, 高橋, 利彰, 奥野, 資夫, 山崎, 時雄, 金崎, 周造, 松本, 啓一, 馬場, 忠雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:腹膜原発悪性中皮腫の報告例は, 本邦では比較的少ない. 治療はcisplatin(CDDP)などの静脈内, 腹腔内投与による奏効例1)~3)が散見されるが, 長期予後は必ずしも良好ではない. 著者らは, CDDPの動注化学療法が奏効したと思われる腹膜原発悪性中皮腫の1例を経験したので報告する. 患者:32歳, 女性. 主訴:発熱, 腹部膨満感, 体重減少. 既往歴:23歳時に虫垂炎にて虫垂切除術. アスベスト粉塵の吸入歴なし. 現病歴:1994年7月, 弛張熱のため当科受診. 腹部超音波検査にて腹水および左卵巣腫大を認め, 精査目的で入院となる. 入院時現症:身長162cm, 体重45kg. 体温39.0℃. 眼球結膜に貧血あり. 黄疸を認めず. 腹部は全体に膨隆し, 波動を触知するが, 圧痛はなく, 腫瘤を触知せず. 入院時検査所見:血液生化学検査では, 貧血および肝機能障害を認め, 血中CA125は2660IU/mlと高値を示した. 腹部CTでは, 左卵巣内部がlow-densityで造影されず(Figure1), 腹水貯留がみられるほかは, 腫瘍などの明らかな異常所見は認めなかった.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi1964.94.6_445