急性膵炎を契機に発見された主膵管内の微小乳頭腺腫の1例

急性膵炎の発作を契機に発見された主膵管内の微小なポリープ状の形態を示した膵管内乳頭腺腫の1例を経験したので報告する. 症例:55歳, 男性. 主訴:上腹部痛. 既往歴:平成7年2月, 胆石症にて腹腔鏡下胆嚢摘出術. 家族歴:父, 母ともに胃癌にて死亡. 飲酒歴:つき合い程度. 現病歴:平成7年10月19日, ビールを3杯ほど飲酒した後, 翌朝より上腹部痛が出現したため近医を受診した. 血清アミラーゼの高値により急性膵炎との診断で当院を紹介され, 入院した. 現症:身長168cm, 体重67kg. 血圧138/86mmHg. 眼結膜に貧血, 黄染を認めず. 胸部聴打診上特に異常なし. 腹部は触診上で上腹部に軽度の圧痛を認めた. 入院時検査所見(Table1):白血球数の増加, 血清アミラーゼの高値, CA19-9とエラスターゼ1の軽度上昇が認められた. 腹部超音波検査(US):主膵管は径3mmと軽度拡張を認めた(Figure1a). 腹部造影CT検査:膵は軽度腫大し膵全体に強い造影効果が認められ急性膵炎の所見であった(Figure1b). 入院後, 絶食と抗酵素剤および抗生剤の点滴にて膵炎は軽快し, 入院第7病日に内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行った.