肝内門脈瘤と一過性亜区域性脂肪肝を合併した胆管細胞癌と考えられる1症例

「はじめに」脂肪肝は通常肝全体にび漫性に生じる. しかし, 限局性, あるいは不均一な脂肪沈着を来すこともあり, 診断や病態解釈上困ることも少なくない. われわれは画像診断上, 肝臓の左内側亜区域(S4)に限局して強い脂肪沈着を来した症例を経験した. 本症例では肝内門脈瘤も合併しており, その2つの病態には肝内肝門部型胆管細胞癌と思われる病変によって閉塞性黄疸を来したことが大きな原因と考えられた. 本症例の亜区域性脂肪肝や肝内門脈瘤の発生と胆管細胞癌との関連に若干の考察を加え, ここに報告する. I症例 症例:51歳, 女性, スナック経営. 主訴:痩痒感, 黄疸. 家族歴:特記すべきことなし...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1995/09/05, Vol.92(9), pp.1297-1303
Hauptverfasser: 宮永, 修, 澤部, 琢哉, 菊池, 郁夫, 三原, 謙郎, 石橋, 大海
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」脂肪肝は通常肝全体にび漫性に生じる. しかし, 限局性, あるいは不均一な脂肪沈着を来すこともあり, 診断や病態解釈上困ることも少なくない. われわれは画像診断上, 肝臓の左内側亜区域(S4)に限局して強い脂肪沈着を来した症例を経験した. 本症例では肝内門脈瘤も合併しており, その2つの病態には肝内肝門部型胆管細胞癌と思われる病変によって閉塞性黄疸を来したことが大きな原因と考えられた. 本症例の亜区域性脂肪肝や肝内門脈瘤の発生と胆管細胞癌との関連に若干の考察を加え, ここに報告する. I症例 症例:51歳, 女性, スナック経営. 主訴:痩痒感, 黄疸. 家族歴:特記すべきことなし. 生活歴:飲酒, 喫煙せず. 既往歴:37歳時に子宮筋腫手術, 輸血はなし. 現病歴:1994年1月頃より全身痩痒感が出現し, 2月2日に皮膚科受診. 経口ステロイド剤の投薬(prednisolone換算量で総投与量90mg)を受けたが, 改善しなかった. 2月9日, 肝障害を指摘された. 以後, 内科医にて肝庇護剤投与を受けていたが, 4月2日黄疸に気付き, 4月4日当科を受診し, 入院した.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi1964.92.1297