食事負荷試験による慢性膵炎患者の管腔内脂肪消化吸収過程の分析

慢性膵炎患者の脂肪消化吸収不良の機序を解明するため,食事負荷後の小腸液を分析した.膵炎群(9例)の小腸液では,pH0.5の低下,リパーゼ活性の著明な低下(健常群の14.8%),ミセル相脂肪(健常群の32.8%),ミセル相コレステロール濃度(健常群の41.9%)の低下,および血清コレステロールとミセル相コレステロール濃度の間に正相関があった.したがって,膵性消化不良の病態にはリバーゼ活性低下が最も関与していると考えられた.リパーゼ活性低下により,モノグリセリド,遊離脂肪酸の生成不良,すなわちミセル形成不良が起こり,ミセル相コレステロールおよび脂肪濃度が低下する.この結果,脂肪吸収不良が発生すると...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1995/08/05, Vol.92(8), pp.1169-1177
Hauptverfasser: 山田, 尚子, 中村, 光男, 丹藤, 雄介, 荒井, 雄樹, 今村, 憲市
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性膵炎患者の脂肪消化吸収不良の機序を解明するため,食事負荷後の小腸液を分析した.膵炎群(9例)の小腸液では,pH0.5の低下,リパーゼ活性の著明な低下(健常群の14.8%),ミセル相脂肪(健常群の32.8%),ミセル相コレステロール濃度(健常群の41.9%)の低下,および血清コレステロールとミセル相コレステロール濃度の間に正相関があった.したがって,膵性消化不良の病態にはリバーゼ活性低下が最も関与していると考えられた.リパーゼ活性低下により,モノグリセリド,遊離脂肪酸の生成不良,すなわちミセル形成不良が起こり,ミセル相コレステロールおよび脂肪濃度が低下する.この結果,脂肪吸収不良が発生するという機序が考えられた.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi1964.92.1169