潰瘍性大腸炎および特発性血小板減少性紫斑病を合併した原発性硬化性胆管炎の1例

原発性硬化性胆管炎(以下PSC)は, 原因不明の慢性の線維性閉塞性胆管炎を特徴とする疾患である. 一般に欧米諸国では炎症性腸疾患(以下IBD), 特に潰瘍性大腸炎(以下UC)との合併の多いことはよく知られているが, 本邦ではその合併頻度は少ない. 今回われわれはUCの経過中に, 特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)を併発し, さらにPSCをも合併した興味ある1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. I 症例 患者:57歳, 女性, 会計事務員. 主訴:肝機能異常. 家族歴:父78歳時胃癌にて死亡. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:1986年6月, 下血にて当科受診し精査の結果...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1994, Vol.91(12), pp.2278-2282
Hauptverfasser: 足立, 洋祐, 野内, 俊彦, 青木, 正明, 武田, 雄一, 小島, 茂, 神山, 俊典, 村田, 直樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:原発性硬化性胆管炎(以下PSC)は, 原因不明の慢性の線維性閉塞性胆管炎を特徴とする疾患である. 一般に欧米諸国では炎症性腸疾患(以下IBD), 特に潰瘍性大腸炎(以下UC)との合併の多いことはよく知られているが, 本邦ではその合併頻度は少ない. 今回われわれはUCの経過中に, 特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)を併発し, さらにPSCをも合併した興味ある1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. I 症例 患者:57歳, 女性, 会計事務員. 主訴:肝機能異常. 家族歴:父78歳時胃癌にて死亡. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:1986年6月, 下血にて当科受診し精査の結果, 潰瘍性大腸炎(全大腸炎型)との診断を受けた. サラゾスルファピリジン(以下SASP)にて軽快するも, 1988年より血小板減少を認め, 同年10月入院精査(Table 1). ITPと診断され, ステロイドパルス療法さらに1991年7月, 脾摘術を施行された. その後外来フォロー中, 徐々に肝胆道系酵素の異常を認め, 1993年5月精査目的にて入院となった. 入院時現症:身長160cm, 体重51kg, 体温36.5℃, 脈拍66/min, 貧血や黄疸は認めず, 胸腹部は理学的に異常を認めず, また紫斑も認めない.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi1964.91.2278