腹膜炎症状にて発症し,肝内血腫,hemobilia を呈した結節性多発動脈炎の1例
結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PN)は, 全身の主として中, 小動脈にフィブリノイド壊死を伴った血管全層炎を来す系統的疾患で1), 多臓器にわたり多彩な臨床症状を示すが, 腹痛, 吐下血などの消化器症状の報告は散見されるにすぎない. われわれは, 腹膜炎症状にて発症し, 肝内血腫, hemobiliaを呈したPNの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. I 症例 症例:67歳, 女性, 農業. 主訴:発熱, 腹痛, 全身倦怠感. 家族歴:父親が食道癌にて死亡. 既往歴:52歳より網膜色素変性症. 62歳時薬剤性肝障害. 現病歴:平成4年6月20日...
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Veröffentlicht in: | 日本消化器病学会雑誌 1994, Vol.91(6), pp.1131-1135 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PN)は, 全身の主として中, 小動脈にフィブリノイド壊死を伴った血管全層炎を来す系統的疾患で1), 多臓器にわたり多彩な臨床症状を示すが, 腹痛, 吐下血などの消化器症状の報告は散見されるにすぎない. われわれは, 腹膜炎症状にて発症し, 肝内血腫, hemobiliaを呈したPNの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. I 症例 症例:67歳, 女性, 農業. 主訴:発熱, 腹痛, 全身倦怠感. 家族歴:父親が食道癌にて死亡. 既往歴:52歳より網膜色素変性症. 62歳時薬剤性肝障害. 現病歴:平成4年6月20日頃より38℃前後の発熱, 腹痛, 全身倦怠感があり近医を受診した. 血液検査で, 炎症所見および胆道系酵素の上昇を認めたため精査目的に7月2日当科入院となった. 入院時現症:身長153.4cm, 体重57.1kg, 体温37.8℃, 血圧120/68mmHg, 脈拍102/分, 整. 貧血, 黄疸なし. 胸部には理学的に異常はなく, 腹部では上腹部に圧痛および筋性防御があり, 鼓腸が認められたが, 肝, 脾は触知しなかった. 下腿に浮腫を認めた. 神経学的には異常を認めなかった. |
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ISSN: | 0446-6586 1349-7693 |
DOI: | 10.11405/nisshoshi1964.91.1131 |