1-2.健康保養地における気候療法の環境
欧州には気候要素を医療, 健康づくりに活用した気候療法地 (独 : HeilKlimatishe Kurort) は多く, ドイツ国内のみでも50か所 (自治体) が立地する. イタリア, チェコ, オーストリア, ポーランドにも山間地, 海浜地に多く立地し, 温泉療法を併用する療養地を含めると療養地の数は総計で数百に上るとみられる. それぞれの療養地は, 作用機序から保護性気候と刺激性気候に区分され, 保護性気候の療養地には, 適度な大気圧, 寒暖差が小さな気温, 適度な日照, 純度の高い大気, アレルゲンの少ない大気, 蒸し暑くない気候などの条件が求められ, 刺激性気候の療養地には, 冷涼...
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Veröffentlicht in: | 日本温泉気候物理医学会雑誌 2016/02/27, Vol.79(1), pp.24b-24b |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 欧州には気候要素を医療, 健康づくりに活用した気候療法地 (独 : HeilKlimatishe Kurort) は多く, ドイツ国内のみでも50か所 (自治体) が立地する. イタリア, チェコ, オーストリア, ポーランドにも山間地, 海浜地に多く立地し, 温泉療法を併用する療養地を含めると療養地の数は総計で数百に上るとみられる. それぞれの療養地は, 作用機序から保護性気候と刺激性気候に区分され, 保護性気候の療養地には, 適度な大気圧, 寒暖差が小さな気温, 適度な日照, 純度の高い大気, アレルゲンの少ない大気, 蒸し暑くない気候などの条件が求められ, 刺激性気候の療養地には, 冷涼な大気, 寒暖差が大きな日内変動, 強風, 強い日射, 標高1,000m以上の低い大気圧, 海塩粒子を含んだ風などが気候要素として求められる. この要件を本邦の事情に照らし合わせると, きれいな大気環境にあるおおよそ標高2,000m~0m (海岸) の適度な日照条件を備えた療養地であればほとんどが適合することになる. 欧州では, 近年の自然重視の風潮の中, 気候療法は旧来の医療重視の立場から, 予防医学的な療養地としての進化を遂げている. 国, 自治体をあげて推進する傾向にあり近年の医療費削減の風潮のなかでも, 公的な補助は療養者の状態により100%から, 予防的な療養の場合は1日10ユーロの自己負担まで認定されている. 療養地側では社会的な対応が必要と思われる問題に積極的に取り組み, 生活習慣病予防, 職場におけるうつ予防, 認知症予防などの専用プログラムを医療機関とウェルネス機関の連携で構築し, サービス提供している. このような状況は, 2025年問題を抱え社会保障のあり方を問われている日本が参考にするところが多いと思われるが, 温泉気候療法研究の環境は進展が見られない. 今後多くの研究者が本分野での研究を重ね, 温泉気候療法に取り組み, 国民の健康に寄与することを期待したい. |
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ISSN: | 0029-0343 1884-3697 |
DOI: | 10.11390/onki.79.1.24b |