鍼通電刺激が廃用性の骨格筋萎縮を抑制する分子メカニズム

『I 緒言』 先進国での高齢化社会の進展が, 老齢人口の増加に伴い大きな問題になりつつある. 高齢者の生活の質(QOL)の維持には転倒防止が重要であり, それは筋萎縮の予防により実現する1). 加えて, 加齢に伴う筋量の低下と慢性病には関連があることも知られており, 骨格筋萎縮の抑制は高齢者のQOLを高める2),3). 筋量の維持には筋への高負荷を伴う運動が有効だが, そのような運動の継続は高齢者にとって困難である4). 我々は鍼通電刺激の骨格筋に及ぼす影響を遺伝子レベルで解析してきた. そして, 鍼通電刺激に関連するAig1L遺伝子を発見し5), 鍼通電刺激が骨格筋の幹細胞であるサテライト細...

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Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2011, Vol.74(2), pp.103-111
Hauptverfasser: 池宗, 佐知子, 大田, 美香, 宮本, 俊和, 高岡, 裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:『I 緒言』 先進国での高齢化社会の進展が, 老齢人口の増加に伴い大きな問題になりつつある. 高齢者の生活の質(QOL)の維持には転倒防止が重要であり, それは筋萎縮の予防により実現する1). 加えて, 加齢に伴う筋量の低下と慢性病には関連があることも知られており, 骨格筋萎縮の抑制は高齢者のQOLを高める2),3). 筋量の維持には筋への高負荷を伴う運動が有効だが, そのような運動の継続は高齢者にとって困難である4). 我々は鍼通電刺激の骨格筋に及ぼす影響を遺伝子レベルで解析してきた. そして, 鍼通電刺激に関連するAig1L遺伝子を発見し5), 鍼通電刺激が骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞の増殖を促すこと6)を見出してきた. その際, 反復して鍼通電刺激をおこなうことで骨格筋幹細胞の増殖を誘導するミオスタチン発現抑制が生じることも見出している6). WHOのレポート(http://apps.who.int/medicinedocs/en/d/js4926e/5.html)によると, 鍼治療は筋萎縮, 骨格筋の凝り, 筋疲労の治療に有効である.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki.74.103