No.41 森林浴の生理学的効果に及ぼす生体への検討

[目的]森林浴および非森林浴環境下において, 自律神経系, 循環器内分泌および免疫系に及ぼす影響について比較検討した. [方法]対象は, 2008年および2009年の測定に参加した健常な男性および女性(平均63.3歳)の合計36名である. 森林浴ならびに非森林浴時間は, 一定の2時間と固定し, 視覚遮断, 嗅覚遮断および非遮断の3条件, 3グループとしそれぞれ12名において検討した. 非森林浴は, 日を変えて同一気候条件の下に調査した. フィトンチッド濃度は, ガスクロマトグラフィー質量分析法により測定した. 測定項目は, 気象データ, 心拍数, 歩数, 消費カロリー, 血圧, カテコールアミ...

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Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2010, Vol.74 (1), p.50-50
Hauptverfasser: 近藤照彦, 武田淳史, 武田信彬, 小林功
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]森林浴および非森林浴環境下において, 自律神経系, 循環器内分泌および免疫系に及ぼす影響について比較検討した. [方法]対象は, 2008年および2009年の測定に参加した健常な男性および女性(平均63.3歳)の合計36名である. 森林浴ならびに非森林浴時間は, 一定の2時間と固定し, 視覚遮断, 嗅覚遮断および非遮断の3条件, 3グループとしそれぞれ12名において検討した. 非森林浴は, 日を変えて同一気候条件の下に調査した. フィトンチッド濃度は, ガスクロマトグラフィー質量分析法により測定した. 測定項目は, 気象データ, 心拍数, 歩数, 消費カロリー, 血圧, カテコールアミン3分画, アルドステロン, コルチゾール, Ig-A, NK細胞活性, アディポネクチンおよび高感度CRPである. [結果]森林浴測定地点から樹木由来のフィトンチッドが3種類検出された. 一方, 非森林浴ではフィトンチッドが検出されなかった. 森林浴前後において嗅覚遮断および非遮断群の収縮期血圧が有意に低下した. コルチゾールは, 3群全て有意に低下した. その他の検査データは, いずれも有意な変化は認めなかった. [考察]森林浴は, フィトンチッドや森林環境が生体へのリラグセーション効果をもたらすことが知られている. 森林浴は, これまで検討されてきた嗅覚経路のみならず, 大きく視覚経路をも介して生理的また, 心理的に身体リラグゼーション効果を短時間にもたらす可能性があることが示唆された.
ISSN:0029-0343