No.2 食塩含有人工炭酸泉浴の各種症状に及ぼす治療効果について(その4):炭酸泉浴の単核球内のHSP(heat shock protein)産生に及ぼす影響について

[目的]HSPは熱ストレスや精神的ストレスなどにより誘導されるタンパク質として知られている. HSPは癌細胞やウイルス感染細胞の抗原提示の亢進とリンパ球の活性を促進するという全身の免疫活性化作用が明らかにされて来た. 私達は, 食塩含有人工炭酸泉浴(以下炭酸泉浴)の各種症状に及ぼす治療効果と生理学的変化との関連を明らかにする目的で, さら湯と比較して, 急性効果(1回入浴)および慢性効果(15回連続入浴)について血液中の単核球に含まれるHSPを測定し検討したので報告する. [方法]下肢の冷え性・疼痛を有する入院患者9人の患者と対象にして, 1日10分間の全身浴(40℃)を実施した(1日目:さら...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2010, Vol.74 (1), p.30-31
Hauptverfasser: 保崎泰弘, 塩澤信良, 芦田耕三, 渡邉益宜, 菊地宏, 高田真吾, 渡邊智, 石澤太市, 谷野伸吾, 光延文裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]HSPは熱ストレスや精神的ストレスなどにより誘導されるタンパク質として知られている. HSPは癌細胞やウイルス感染細胞の抗原提示の亢進とリンパ球の活性を促進するという全身の免疫活性化作用が明らかにされて来た. 私達は, 食塩含有人工炭酸泉浴(以下炭酸泉浴)の各種症状に及ぼす治療効果と生理学的変化との関連を明らかにする目的で, さら湯と比較して, 急性効果(1回入浴)および慢性効果(15回連続入浴)について血液中の単核球に含まれるHSPを測定し検討したので報告する. [方法]下肢の冷え性・疼痛を有する入院患者9人の患者と対象にして, 1日10分間の全身浴(40℃)を実施した(1日目:さら湯浴, 2~16日目:炭酸泉浴). 入浴前・後(30分)に静脈から採血を行なった. 伊藤らの方法により単核球分画を分離した. -80℃に保存した後, シグマ社製HSP抗体を用いて測定した. 3回測定を行い, 平均値をもって各個人の値とした. 結果は入浴前の値を1とした場合の入浴後の値の比をもって検討を行った. [成績]さら湯浴入浴後:1.07±0.31(p=0.26), 1回炭酸泉浴入浴後:1.24±0.66(p=0.16), 15回連続炭酸泉浴入浴後:1.49±1.06(p=0.12)であった. 15回連続炭酸泉浴において, HSPの増加傾向がうかがわれた. [考察]私達は今回, 炭酸泉浴は, 単核球内のHSPの増加を介してリンパ球の活性を促進し全身の免疫活性化作用に効果が高いことが推測される結果を示した.
ISSN:0029-0343