g-3. トウガラシチンキ配合入浴剤の効果について

[目的]トウガラシのエタノール抽出液であるトウガラシチンキは, カプサイシンを含んでいるため, 血行を促進し新陳代謝を高める効果が期待できる. トウガラシチンキを無機塩(無水硫酸ナトリウム, 炭酸水素ナトリウム, 塩化ナトリウム, 塩化カリウム)に0.5%配合したトウガラシチンキ入浴剤(CAT-2)と無機塩のみの入浴剤(CAT-3)との相違を検討した. [方法]成人健常人8名(36.6±15.2歳)に対し, 180L(湯温41℃, 室温25±1℃)にてトウガラシチンキ入浴剤(CAT-2), 無機塩のみの入浴剤(CAT-3)を各々25g添加したものと水道水温水(さら湯)の3種について, 15分間の全身浴をランダムで行った. 入浴開始10分前から入浴後30分まで, 血圧・脈拍, 大腿部血流, 表面皮膚温, 深部体温の測定を行った. [成績]血圧・脈拍, 大腿部血流, 表面皮膚温は, 温水の種類による有意な差はみられなかった. 深部体温計の値は, トウガラシチンキ入浴剤(CAT-2)と無機塩のみの入浴剤(CAT-3), 水道水温水(さら湯)と比較し有意な差がみられ, 水道水温水(さら湯)との差は顕著であった. [考察]トウガラシチンキ入浴剤(CAT-2)は他の2種と比較し, 入浴中は温水から熱が入りやすく, 出浴後は放熱しにくいことが深部体温計の値の結果から確認できた. トウガラシチンキ入浴剤(CAT-2)と水道水温水(さら湯)との差が無機塩のみの入浴剤(CAT-3)と比べ大きかったことから, トウガラシチンキを加えることによって保温効果が高まることの裏づけになるものと解釈できる. そして, これはカプサイシンなど無機塩以外の成分によるものと考えられる.