PII-4. 落針式粘度計で測定した入浴時の血液流動性の変化

「1. 目的」突然死の原因といわれる主要な生活行動の中に, 日本式の入浴がある. 入浴条件によっては循環動態や血液の凝固・線溶が変化することは知られ, 入浴事故の要因と考えられてきた. しかしながら, その要因として血液流動性の変化についての議論はほとんどない. そこで, 静水圧効果および温熱効果に重点を絞り, 入浴時の被験者の血液流動性を解析した. 「2. 方法」膝下を鉛直方向に伸ばした座位にて入浴可能な浴槽に, 一定温度に加温した水道水を流し続け, 6例の健康な成人男性被験者を腋下まで静かに浸した. 湯温と浸水時間などを変えた条件で, 入浴前後について血液の流動性を解析した. 血液の流動性...

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Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2008, Vol.72 (1), p.60-60
Hauptverfasser: 大村和伸, 中道昇, 束田ちえ, 徳留省悟
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 目的」突然死の原因といわれる主要な生活行動の中に, 日本式の入浴がある. 入浴条件によっては循環動態や血液の凝固・線溶が変化することは知られ, 入浴事故の要因と考えられてきた. しかしながら, その要因として血液流動性の変化についての議論はほとんどない. そこで, 静水圧効果および温熱効果に重点を絞り, 入浴時の被験者の血液流動性を解析した. 「2. 方法」膝下を鉛直方向に伸ばした座位にて入浴可能な浴槽に, 一定温度に加温した水道水を流し続け, 6例の健康な成人男性被験者を腋下まで静かに浸した. 湯温と浸水時間などを変えた条件で, 入浴前後について血液の流動性を解析した. 血液の流動性解析は, 関西大学環境都市工学部の山本秀樹教授らが開発した血液専用落針式粘度計を用い, 8種類の勇断速度における測定値を用いて実施した. 血液検体は前腕皮静脈から採血した直後のものを用い, 抗凝固処理検体と未処理検体の両方で測定した. 採血開始から3分以内に測定したものを抗凝固未処理検体とし, 流動性解析時の作業上の影響を確認するために, 測定終了後の検体のトロンビン活性を測定した. 「3. 成績」6例中4例で, 42度の高温浴によって血液粘度の上昇が観察された. 入浴は10分以内であり, 短時間のうちに血液流動性も変化することが観察できた. 血液流動性の変化は, 抗凝固未処理検体にて顕著であった. これらの変化は, 軽度のトロンビン活性化と同時に発生していた. なお, 測定終了後の抗凝固未処理検体のトロンビン活性の測定結果は, 一連の操作で惹起される血液凝固による血液粘度への影響を否定するものであった. 「4. 考察」血液専用落針式粘度計による流動性解析で, 入浴前後の抗凝固未処理検体の血液流動性の変化が短時間で起こることを観察した. しかし, 単純に42度の高温浴と静水圧の組合わせだけで発生する現象ではなかった. 今後は, 入浴時間および浴槽への出入りという温浴時の全身の動きを併せた負荷条件を確認したい.
ISSN:0029-0343