グリセリン添加入浴による重症心身障害者の皮膚性状変化と皮膚疾患予防効果
「I 緒言」大気中の湿度が低下する冬季になると, 乾燥肌に悩む声をよく耳にするが, 高齢者や重症心身障害者のような低活動者では発汗量や心拍出量の低下が関与すると考えられ, 健常者以上に皮膚乾燥が問題となる. 皮膚の保湿能力の低下は, 乾燥した環境下での角質層を構成するアミノ酸や蛋白組成の変化1)や, 紫外線による皮膚の老化に伴う皮膚コラーゲンの減少2)によって生じることが知られている. 皮膚の乾燥は乾燥性皮膚炎の原因になる他, アトピー性皮膚炎や乾癬, 魚鱗癬, 接触性皮膚炎などの皮膚疾患においてバリアー機能を低下させるため3)4), 適切な対応が求められる. 皮膚乾燥への対応は軟膏やクリーム...
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Veröffentlicht in: | 日本温泉気候物理医学会雑誌 2008, Vol.71(3), pp.173-179 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I 緒言」大気中の湿度が低下する冬季になると, 乾燥肌に悩む声をよく耳にするが, 高齢者や重症心身障害者のような低活動者では発汗量や心拍出量の低下が関与すると考えられ, 健常者以上に皮膚乾燥が問題となる. 皮膚の保湿能力の低下は, 乾燥した環境下での角質層を構成するアミノ酸や蛋白組成の変化1)や, 紫外線による皮膚の老化に伴う皮膚コラーゲンの減少2)によって生じることが知られている. 皮膚の乾燥は乾燥性皮膚炎の原因になる他, アトピー性皮膚炎や乾癬, 魚鱗癬, 接触性皮膚炎などの皮膚疾患においてバリアー機能を低下させるため3)4), 適切な対応が求められる. 皮膚乾燥への対応は軟膏やクリーム等の塗布が行われるが, 病院や施設では処置を要する患者数や皮膚範囲が大きい場合, 多大な人手と時間が割かれることから, 食事, 排泄, 更衣の介助や医療処置など必要最小限の日常業務に支障が出たり, 療養, 療育環境についての発展的な思考や職員の心理的コンディションにも影響を与えるので, 改善策を考える必要がある. 井口らは尿素グリセリン水を入浴後にスプレー塗布することで短時間に効率よく処置ができると報告しているが5), 保湿剤等への添加物として汎用されるグリセリンを, 浴槽に入れることで皮膚の乾燥を抑え, 皮膚疾患の治療へ良い影響をもたらす可能性がある. |
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ISSN: | 0029-0343 1884-3697 |
DOI: | 10.11390/onki1962.71.173 |