21.かゆみを訴える維持透析患者に対する鍼治療の試み

[目的]維持透析患者のQOLに影響を与えるかゆみについて, 訴え状況を把握するとともに鍼治療を試みて, その結果から鍼治療の有用性を検討した. [方法]三重県T病院の血液透析療法患者232名から, かゆみの症状についてのアンケート調査を行った. また, 17名に対して経絡テスト理論を用いた円皮鍼治療(pyonex, 0.6mm)を試みて(2ヵ月間で計8回), 治療効果に関するアンケート調査を行った. 17名中, 白取の分類でかゆみの症状がみられた9名の治療期間前後の白取の分類とKDQOL-SF(かゆみに関する2つの質問)の結果を, さらに訴えの強い4名のかゆみの程度を示したVAS(Visual...

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Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2006, Vol.70 (1), p.33-34
Hauptverfasser: 櫻庭陽, 武内秀之, 武内操, 森山朝正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]維持透析患者のQOLに影響を与えるかゆみについて, 訴え状況を把握するとともに鍼治療を試みて, その結果から鍼治療の有用性を検討した. [方法]三重県T病院の血液透析療法患者232名から, かゆみの症状についてのアンケート調査を行った. また, 17名に対して経絡テスト理論を用いた円皮鍼治療(pyonex, 0.6mm)を試みて(2ヵ月間で計8回), 治療効果に関するアンケート調査を行った. 17名中, 白取の分類でかゆみの症状がみられた9名の治療期間前後の白取の分類とKDQOL-SF(かゆみに関する2つの質問)の結果を, さらに訴えの強い4名のかゆみの程度を示したVAS(Visual analog scale)の結果から治療効果を検討した. 発生したインシデントについてはレポートを作成した. [結果]維持透析患者232名中122名がかゆみを訴えていた. 鍼治療を実施した17名のアンケート結果では, 7名にかゆみの改善がみられた. 9名の白取の分類, KDQOL-SFの平均値はそれぞれ治療前後で2.0から1.0, 45.6から75.3へと, 訴えの強い4名のVASは64.5から50.5へと改善傾向を示したが, 個人でばらつきがみられた. インシデントは“知らずに鍼がはがれた”が8例と最も多く, 内出血や症状の悪化等の事例もあったが重篤なものはなかった. [考察]複雑な身体状況を抱える維持透析患者の治療では, 安全性と効果の両方が要求される. 重篤なインシデントが無く, ある程度の効果が得られた本結果から, かゆみを訴える維持透析患者に対する鍼治療の有用性を感じたとともに, 鍼治療の多様性を考慮すると, 透析医療に適した安全で治療効果の高いかゆみの治療方法としてのさらなる可能性を感じた. 今後, 治験を重ねてその効果を示しながら治療を確立することで, 多くの透析患者に福音をもたらすことができるかもしれない.
ISSN:0029-0343