過去20年間に邦文で報告された温泉の健康増進作用に関する研究論文のレビュー

21世紀は健康の時代といわれる. 環境汚染や食品公害, 運動不足, 騒音等によりいわゆる半健康人が増加している. 生体の防御能を損なった人々が, 本来の生体機能を回復し心身の健康を取り戻すために, 温泉療法を活用した保養および療養地づくりが進められている. 温泉地滞在により気候, 風土, 温泉水の刺激が身体に作用し, 中枢神経系, 自律神経系, 内分泌系, 免疫系等に相当の反応を引き起こす. その結果, ストレス等で歪んだ各種生体機能のリズムや慢性の病態の正常化が期待されている. 温泉には人間が本来持っている自然治癒能力を高める作用があると主張されてきた. 温泉地の総合刺激で, 一方では適応機...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2006, Vol.69(2), pp.81-102
Hauptverfasser: 王, 紅兵, 鏡森, 定信
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:21世紀は健康の時代といわれる. 環境汚染や食品公害, 運動不足, 騒音等によりいわゆる半健康人が増加している. 生体の防御能を損なった人々が, 本来の生体機能を回復し心身の健康を取り戻すために, 温泉療法を活用した保養および療養地づくりが進められている. 温泉地滞在により気候, 風土, 温泉水の刺激が身体に作用し, 中枢神経系, 自律神経系, 内分泌系, 免疫系等に相当の反応を引き起こす. その結果, ストレス等で歪んだ各種生体機能のリズムや慢性の病態の正常化が期待されている. 温泉には人間が本来持っている自然治癒能力を高める作用があると主張されてきた. 温泉地の総合刺激で, 一方では適応機能を利用した病気の療養に, 他方では積極的に適応能力を増強させて身体の諸機能を高め, 心身の諸能力を養う基盤となっている. 温泉保養, 療養が各種の疾病の予防や健康増進として有用であることは古来より広く認められているが, 詳細な検討では温泉浴が非温泉水浴に勝るという確かな証拠は意外に乏しい.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.69.81