温泉利用とWHO生活の質: 温泉利用の健康影響に対する交絡要因としての検討

温泉の利用が健康増進に有用であり, さらに医療費にまで影響するといった報告がある1-3). しかしながらこのような温泉の効用に関する結果の解釈には留意すべき点も多い. そのひとつに温泉利用(原因)とその効用(結果)の両方に関係する交絡要因4)について吟味する必要性がある. 例えば, 一般に生活にゆとりのある人が温泉をより頻繁に利用しており, またそのような人たちでは病気の罹患も少ないので, 実際には温泉の効用でなくとも, 生活のゆとりを介して温泉利用者がより健康であるといった結果を導くことにもなる. 生活の程度は温泉の利用と健康の両方に影響するので, 温泉の健康作用を解釈する際の交絡要因という...

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Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 2004, Vol.67(2), pp.71-78
Hauptverfasser: 鏡森, 定信, 中谷, 芳美, 梶田, 悦子, 金山, ひとみ, 堀井, 雅恵, 松原, 勇
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:温泉の利用が健康増進に有用であり, さらに医療費にまで影響するといった報告がある1-3). しかしながらこのような温泉の効用に関する結果の解釈には留意すべき点も多い. そのひとつに温泉利用(原因)とその効用(結果)の両方に関係する交絡要因4)について吟味する必要性がある. 例えば, 一般に生活にゆとりのある人が温泉をより頻繁に利用しており, またそのような人たちでは病気の罹患も少ないので, 実際には温泉の効用でなくとも, 生活のゆとりを介して温泉利用者がより健康であるといった結果を導くことにもなる. 生活の程度は温泉の利用と健康の両方に影響するので, 温泉の健康作用を解釈する際の交絡要因ということになる. 近年, 健康づくりが盛んなことから, 運動習慣などもこの温泉の健康からみた効用に関する交絡要因になり得る. 健康に関して, 身体的のみならず心理社会的な面も重要視されている今日, 温泉の効用を論じる場合に, それを交絡要因としての面から吟味しておくことはきわめて重要である.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.67.71