温水浴が自律神経機能および止血機能に与える影響

[目的] 高齢者で, 血栓性疾患のない者および脳梗塞既往のある者を対象にして, 38℃, 30分間の温水浴を行い, 自律神経機能や止血機能に与える効果を検討した. [方法] 精神神経科病院入院中で, 社会復帰センターでリハビリをしている患者の中から, 血栓性疾患のない男性8名(52~62歳)および脳梗塞既往のある男性15名(48~72歳)の計23名を対象とした. 脳梗塞既往者は, 全て頭部CTにて梗塞部位を確認し, また発症より6ヶ月以上経過した症例で, アテローム血栓性梗塞患者6例, ラクナ梗塞患者9例であった. 非観血式連続血圧測定装置(日本コーリン社製)を装着し, 脈拍数, 血圧をモニタ...

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Hauptverfasser: 加藤ゆみ, 吉田利明, 相原真理子, 仁田正和, 塩野裕之, 岡田忠, 酒井淳一, 椙江勇
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] 高齢者で, 血栓性疾患のない者および脳梗塞既往のある者を対象にして, 38℃, 30分間の温水浴を行い, 自律神経機能や止血機能に与える効果を検討した. [方法] 精神神経科病院入院中で, 社会復帰センターでリハビリをしている患者の中から, 血栓性疾患のない男性8名(52~62歳)および脳梗塞既往のある男性15名(48~72歳)の計23名を対象とした. 脳梗塞既往者は, 全て頭部CTにて梗塞部位を確認し, また発症より6ヶ月以上経過した症例で, アテローム血栓性梗塞患者6例, ラクナ梗塞患者9例であった. 非観血式連続血圧測定装置(日本コーリン社製)を装着し, 脈拍数, 血圧をモニターしながら, 38℃の温泉浴を30分間実施した. 採血は入浴前, 入浴30分時そして出浴30分後の3回行った. 実験中の生理的変動を考慮し, 約一週間の間隔をとって, 同一被験者で入浴しない日にも同時刻に採血した. [成績] 安静時, 両群間で血中トロンボモジュリンに差はなかったが, 脳梗塞既往者は, APTTが有意に短縮していた. 両群とも入浴時には, ヘマトクリット値, フィブリノーゲン量そして血球数等に減少がみられ, 出浴後には回復していた. また, 血中のノルアドレナリンは入浴時著しく減少したが, 収縮期血圧や脈拍数はほとんど変動せず, 血圧変動から算出した自律神経機能の指標にも変化はみられなかった. ユーグロブリン溶解時間は入浴時でも短縮はみられなかったが, 脳梗塞既往者では, 出浴30分後にPAI-1抗原量の減少, ならびにt-PA抗原量の増加がみられた. [考察] 両群ともに入浴時の血中カテコールアミンレベルの変化に対する血圧や脈拍の応答が低下していることが示唆された. また, 脳梗塞既往者では出浴30分後に線溶が亢進することが示唆され, 血栓形成傾向の改善が微温浴をゆったりと実施することで, 今後の梗塞の再発防止や予防に有効となる可能性が考えられた.
ISSN:0029-0343