シェーグレン症候群 (SjS) 患者の乾燥症状に対する鍼治療効果

I.緒言 シェーグレン症候群（Sjogren's syndrome：以下SjS）は, スウェーデンの眼科医Henrick Sjogrenにより外分泌腺（涙腺・唾液腺）の慢性炎症と自己免疫疾患・結合組織疾患の合併症と報告され, 慢性関節リウマチ等の膠原病と合併することが多い疾患である1). 本邦における推定患者数は約10万人とも言われ特に40歳, 50歳代以降の中高年女性に多く発症する2). 臨床症状は, リンパ球浸潤により導管や腺房組織が破壊され眼球・口腔の乾燥症状(dry eye・dry mouth)を訴えるだけでなく, 気道粘膜や消化管・膣・汗腺等の他の外分泌腺にも影響し患者のQOLは著しく障害される. 現在, 眼球乾燥（乾燥性角結膜炎）に対しては人口涙液の点眼や涙点プラグ, モイスチャーエイド等が新しい治療方法3)として開発され, 口腔乾操（口腔乾燥症）に対しても人口唾液や利胆剤4)・去痰剤また漢方薬5)の内服やモイスチャープレート等の口腔外科的治療も試みられているが難治と言われている.