草津温泉の医学的考察

草津温泉は含硫化水素明ばん緑ばん泉で強酸性であるため, 皮膚に対する刺激作用が強く, この温泉に1日数回連日入浴すると, 股陰部, 肛門周囲, 腋窩, 臍窩等に皮膚炎が発生してくる. これを俗に“ただれ”と称しているが, 土脂慶蔵教授により酸性泉浴湯皮膚炎と名付けられた. 草津温泉には時間湯という特殊な浴法が行なわれているが, この時間湯とは48℃の高温の温泉に1日4回3分ずつ連日入浴させて, 患者に“ただれ”を発生させ, これによって難治な種々の慢性疾患を治癒させんとする経験的療法であるが, この浴法が文献史料に記載されてから丁度100年を閲した現在もなお, 地蔵の湯, 鷲の湯の浴場において...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 1968/12/25, Vol.32(1-2), pp.24-24
1. Verfasser: 小嶋, 碩夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:草津温泉は含硫化水素明ばん緑ばん泉で強酸性であるため, 皮膚に対する刺激作用が強く, この温泉に1日数回連日入浴すると, 股陰部, 肛門周囲, 腋窩, 臍窩等に皮膚炎が発生してくる. これを俗に“ただれ”と称しているが, 土脂慶蔵教授により酸性泉浴湯皮膚炎と名付けられた. 草津温泉には時間湯という特殊な浴法が行なわれているが, この時間湯とは48℃の高温の温泉に1日4回3分ずつ連日入浴させて, 患者に“ただれ”を発生させ, これによって難治な種々の慢性疾患を治癒させんとする経験的療法であるが, この浴法が文献史料に記載されてから丁度100年を閲した現在もなお, 地蔵の湯, 鷲の湯の浴場において行なわれており, 年間の時間湯入湯者は200名以上を数えている. 疾患としては皮膚疾患, 神経痛, リウマチ性疾患等が多く, 皮膚疾患のうち尋常性乾癬, 慢性湿疹等に著効例が多い. 草津温泉の医学的研究は1896年Erwin von Balzがその医学的所見を述べたのに始まり, 昭和9年以後恩師三沢, 大島両教授を中心として先輩各位の多方面にわたる総合的な研究が行なわれ, 特に草津温泉の時間湯浴法については, 強い変調作用または非特異的刺激作用を有することが認められ, 温泉の治効の作用機転が明らかにされた.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.32.24