泉浴と循環機能に関する研究 (第3報): 杉山式漸温部分浴装置と循環血液量及び心拍リズムに関する臨床的研究

泉浴は循環系に著しい影響を及ぼす. 従って高血圧等の循環器疾患における入浴は19世紀に至るまで極めて危険視され, 温泉治療の領域外に放任されていた. しかしながら近年温泉医学の研究によって, 適確な手技を選んで行うならばむしろ有効である循環器疾患が多いことが漸次解明され, 循環器疾患とくに高血圧の温泉泊療の気運は次第に高くなってきた. 吾国の温泉医学研究者の間にこの問題を各泉質について綜合的に検討せんとする議が起り, 主として臨床的に研究するとともに, その作用機転を解明し, 実際的な温泉療法の規準を与えることを目的として交部省科学研究費による綜合研究班が組織された. 当研究所においても昭和3...

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Veröffentlicht in:日本温泉気候物理医学会雑誌 1964/06/25, Vol.28(1-2), pp.11-48
1. Verfasser: 片方, 正彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:泉浴は循環系に著しい影響を及ぼす. 従って高血圧等の循環器疾患における入浴は19世紀に至るまで極めて危険視され, 温泉治療の領域外に放任されていた. しかしながら近年温泉医学の研究によって, 適確な手技を選んで行うならばむしろ有効である循環器疾患が多いことが漸次解明され, 循環器疾患とくに高血圧の温泉泊療の気運は次第に高くなってきた. 吾国の温泉医学研究者の間にこの問題を各泉質について綜合的に検討せんとする議が起り, 主として臨床的に研究するとともに, その作用機転を解明し, 実際的な温泉療法の規準を与えることを目的として交部省科学研究費による綜合研究班が組織された. 当研究所においても昭和31, 32年にこの綜合研究班に参加し, 泉浴と血圧に関する詳細な研究を行った結果, 適切な入浴方法によれば泉浴は高血圧症の治療に極めて有効であることを確認した. さらに当研究所の杉山は炭酸微温浴における実験成績に端を発して, その入浴方法及び浴温を重要視し, Hauffeの方法に準拠して不感温度に近い35℃から45℃まで漸進的に温度を上昇させて行う両側上下肢の部分浴装置(杉山式漸温部分浴)を考案し, 高血圧症, 動脉硬化症その他の循環器疾患の治療に応用し, 極めてよい治療効果を収めている.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.28.11