血小板活性化因子とライム病

血小板活性化因子(platelet activating factor, PAF)は炎症や血栓などの病態に関与するメディエーターである. ライム病のマウス疾患モデルでPAF拮抗剤は皮膚病変の形成を抑制した. PAFによって媒介される産生細胞と標的細胞間の反応機構を解析する目的で, 好中球と血小板ならびに血管内皮細胞と好中球の細胞間反応を調べた. この結果から, ライム病とPAFとの関係について述べてみたい. 「1. はじめに」ライム病は世界各地に見られるマダニ媒介性のBorrelia感染症である(2, 3). 病原体の発見当時はBorrelia burgdorferiの一菌種のみとされていた....

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Veröffentlicht in:日本細菌学雑誌 1996/07/25, Vol.51(3), pp.863-869
Hauptverfasser: 磯貝, 恵美子, 木村, 浩一, 磯貝, 浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血小板活性化因子(platelet activating factor, PAF)は炎症や血栓などの病態に関与するメディエーターである. ライム病のマウス疾患モデルでPAF拮抗剤は皮膚病変の形成を抑制した. PAFによって媒介される産生細胞と標的細胞間の反応機構を解析する目的で, 好中球と血小板ならびに血管内皮細胞と好中球の細胞間反応を調べた. この結果から, ライム病とPAFとの関係について述べてみたい. 「1. はじめに」ライム病は世界各地に見られるマダニ媒介性のBorrelia感染症である(2, 3). 病原体の発見当時はBorrelia burgdorferiの一菌種のみとされていた. 現在では遺伝的, 抗原的に多様性に富むことが知られており, 新しい菌種が追加されている. このうち, 人における疾病との関連が明らかな主要菌種はB. burgdorferi sensu stricto, B. gariniiおよびB. afzeliiである. 世界のライム病分布を見ると, 北米, ヨーロッパ, アジアではそれぞれライム病病原体の菌種や菌株の性状が異なり, それを媒介するマダニの種類も異なっている.
ISSN:0021-4930
1882-4110
DOI:10.3412/jsb.51.863