遠くなった細菌学
命長ければ恥多し 私は今年(1995)人生最終の節目ともいうべき傘寿, 金婚式を通過することになった. これまでの間には数回の生命に関する危機もあったが, その都度幸運に恵まれて今日まで生きのびてきたのである. 長生きするとそれだけ思い出は豊富になるが, 一方失敗も多い. 「命長ければ恥多し」である. さて私は昭和16年3月阪大医学部を卒業して, 直ちに谷口教授の細菌学教室に入れてもらった. これが研究生活の始まりであって, 与えられたテーマは麻疹ウイルスに関するものであり, 一部自主的に病原細菌についても少々手をつけて, 翌17年その研究成果を細菌学会で報告したのが私の学会発表の最初であった...
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Veröffentlicht in: | 日本細菌学雑誌 1995-10, Vol.50 (4), p.1107-1109 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 命長ければ恥多し 私は今年(1995)人生最終の節目ともいうべき傘寿, 金婚式を通過することになった. これまでの間には数回の生命に関する危機もあったが, その都度幸運に恵まれて今日まで生きのびてきたのである. 長生きするとそれだけ思い出は豊富になるが, 一方失敗も多い. 「命長ければ恥多し」である. さて私は昭和16年3月阪大医学部を卒業して, 直ちに谷口教授の細菌学教室に入れてもらった. これが研究生活の始まりであって, 与えられたテーマは麻疹ウイルスに関するものであり, 一部自主的に病原細菌についても少々手をつけて, 翌17年その研究成果を細菌学会で報告したのが私の学会発表の最初であった. 但し東京におけるその学会名は細菌学会ではなく, 連合微生物学会であったと思う. 当学会では名称の通り細菌だけでなくウイルスまで種々の微生物が取り扱われていた. 昭和28年, 日本ウイルス学会が誕生し, 全国のウイルス学者の推薦によって谷口教授を第1回の総会長として大阪で旗揚げされてより, ウイルスに関する研究の多くはウイルス学会で報告されることとなり, 私は細菌学会とは次第に縁が薄くなった. |
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ISSN: | 0021-4930 |