22. 腸内菌による薬剤性小腸潰瘍の誘発

非ステロイド系抗炎症剤は, 消化管潰瘍を惹起することで問題になっている. 今回は5-bromo-2-(4-fluorophenyl)-3-(4-methylsulfonyl)thiopheneによる回腸部の潰瘍誘発に腸内菌が関与しているのかどうかについて, 無菌動物および抗生物質処理動物を用いて検討した. 抗生物質処理は, 1日2回bacitracin, neomycinおよびstreptomycin(それぞれ200mg/kg体重)を薬剤投与3日前より, SPFラットに投与した. また無菌ラットは, ビニールアイソレーター内で飼育した. 抗炎症薬は胃ゾンデを用いて投与し, 72時間後に解剖して...

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Veröffentlicht in:日本細菌学雑誌 1993, Vol.48 (2), p.457-458
Hauptverfasser: 木内武美, 植島基雄, 片岡佳子, 平岡功, 大西克成
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:非ステロイド系抗炎症剤は, 消化管潰瘍を惹起することで問題になっている. 今回は5-bromo-2-(4-fluorophenyl)-3-(4-methylsulfonyl)thiopheneによる回腸部の潰瘍誘発に腸内菌が関与しているのかどうかについて, 無菌動物および抗生物質処理動物を用いて検討した. 抗生物質処理は, 1日2回bacitracin, neomycinおよびstreptomycin(それぞれ200mg/kg体重)を薬剤投与3日前より, SPFラットに投与した. また無菌ラットは, ビニールアイソレーター内で飼育した. 抗炎症薬は胃ゾンデを用いて投与し, 72時間後に解剖して潰瘍の有無を調べた. SPFラットでの潰瘍形成率は500mg/kgから2000mg/kgの範囲で投与量に比例して増加した. しかし, 抗生物質処理ラットや無菌ラットでは, 大部分のSPFラットで潰瘍が誘発される薬剤濃度(1000mg/kg)でも潰瘍は誘発されなかった. また, 抗炎症薬投与で潰瘍が誘発されたラットでは無投与ラットに比べて回腸生菌数が増加していた. これらの結果は, 薬剤により誘発される回腸部潰瘍に腸内菌が関与していることを示唆している.
ISSN:0021-4930