サルモネラのプラスミド性ビルレンス遺伝子
1はじめに Salmonella感染は原因菌の血清型と感染宿種の組み合わせによって同一原因菌でも異なった起病性(局所性-腸炎または食中毒, 全身性-チフス症)を示す49). 全身感染の場合, Salmonellaは小腸粘膜から上皮細胞に侵入し, パイエル板や腸間膜リンパ節で一次増殖した後, 血液を介して肝臓や脾臓などの二次増殖器官に運ばれ, そこで増殖してチフス結節を形成する29). 近年では, Salmonellaによる菌血症や敗血症がAIDS患者や免疫抑制剤使用患者をはじめとした免疫不全患者で問題になっている11, 14, 48). 一方, 局所感染にあっては小腸粘膜から上皮細胞に侵入した...
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Veröffentlicht in: | 日本細菌学雑誌 1993/03/25, Vol.48(2), pp.399-406 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1はじめに Salmonella感染は原因菌の血清型と感染宿種の組み合わせによって同一原因菌でも異なった起病性(局所性-腸炎または食中毒, 全身性-チフス症)を示す49). 全身感染の場合, Salmonellaは小腸粘膜から上皮細胞に侵入し, パイエル板や腸間膜リンパ節で一次増殖した後, 血液を介して肝臓や脾臓などの二次増殖器官に運ばれ, そこで増殖してチフス結節を形成する29). 近年では, Salmonellaによる菌血症や敗血症がAIDS患者や免疫抑制剤使用患者をはじめとした免疫不全患者で問題になっている11, 14, 48). 一方, 局所感染にあっては小腸粘膜から上皮細胞に侵入した原因菌は全身には移行せず腸壁に障害を与えて腸炎や食中毒を引き起こす. Salmonellaは腸炎ビブリオや黄色ブドウ球菌とともに食中毒の原因菌として知られており, 特に近年は卵が媒介となったS. serovar Enteritidisによる食中毒が世界的な問題となっている. 本論文では近年発表された病原因子のうちでプラスミド性ビルレンス因子を中心にしてSalmonella感染症を理解する上で重要と考えられる病原因子について概観した. |
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ISSN: | 0021-4930 1882-4110 |
DOI: | 10.3412/jsb.48.399 |