ライム病ワクチン開発の動向
1)はじめに ライム病は1982年に病原体であるスピロヘータBorrelia burgdorferiが発見されたもっとも新しい細菌感染症のひとつである10, 31). 野生ゲッシ類等を保有体とし, Ixodes属マダニを媒介動物として, ヒト, イヌ, 家畜等に感染する. 本症は遊走性紅斑, 慢性萎縮性肢端皮膚炎等の皮膚病変, 関節炎等の関節病変, 心筋炎等の循環器症状, 神経根炎, 顔面麻痺等の神経症状ときわめて多様な病態を示すことからその診断はきわめて難しい49). 北米では年間約1万人の患者が発生し重大な社会問題となっている. 本邦では1987年川端ら34)により最初のライム病患者が見い...
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Veröffentlicht in: | 日本細菌学雑誌 1993/03/25, Vol.48(2), pp.389-397 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1)はじめに ライム病は1982年に病原体であるスピロヘータBorrelia burgdorferiが発見されたもっとも新しい細菌感染症のひとつである10, 31). 野生ゲッシ類等を保有体とし, Ixodes属マダニを媒介動物として, ヒト, イヌ, 家畜等に感染する. 本症は遊走性紅斑, 慢性萎縮性肢端皮膚炎等の皮膚病変, 関節炎等の関節病変, 心筋炎等の循環器症状, 神経根炎, 顔面麻痺等の神経症状ときわめて多様な病態を示すことからその診断はきわめて難しい49). 北米では年間約1万人の患者が発生し重大な社会問題となっている. 本邦では1987年川端ら34)により最初のライム病患者が見いだされた. また, 病原体は今日までにマダニ(主にシュルツェマダニI. persulcatusとヤマトマダニI. ovatus), ノネズミ, 患者皮膚紅斑部より分離されている36, 38, 41-43). 本症の臨床病理学, 診断, 治療, 病原体保有マダニの疫学, 病原体の細菌学的性状等については, すでに数多くの内外の総説が出されているのでそちらを参照されたい1, 4, 11, 16, 26, 33, 40, 49, 54, 55). |
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ISSN: | 0021-4930 1882-4110 |
DOI: | 10.3412/jsb.48.389 |