骨盤腹膜炎を契機に診断された遊離卵巣嚢腫の一例

「緒言」遊離卵巣嚢腫は稀な疾患であり, 術前の画像診断は困難とされ, 手術により最終診断されることが多い. 今回我々は, 骨盤腹膜炎を契機に診断された遊離卵巣嚢胞に対して腹腔鏡下で加療した症例を経験したので報告する. なお, 本症例を報告するにあたり, 十分な説明と個人情報保護に配慮し, 患者本人より同意を得ている. 「症例」45歳 G0P0 未婚 BMI 23.9 事務員 エホバの証人. 既往歴: 高血圧. 内服薬: シルニジピン. 手術歴: なし. アレルギー: なし. 婦人科検診歴: なし. 月経歴: 初経12歳, 未閉経, 月経周期は整, 28日型, 過多月経あり. 月経困難症あり. 生活歴: 飲酒なし, 喫煙なし. 家族歴: 特記なし. 現病歴: 月経第1日に発熱, 急性の右下腹部痛を主訴にかかりつけ内科を受診して経腹超音波検査で腹部腫瘤を指摘され造影CT検査と炎症所見の上昇から総合病院婦人科に紹介され, 同日入院して骨盤腹膜炎の診断で抗生剤投与された.