鏡視下手術の術前に卵巣充実性腫瘍と鑑別困難であった子宮円索発生平滑筋腫の1例

【Introduction】子宮円索から発生する平滑筋腫は非常に稀であり, 術前の画像診断では卵巣腫瘍との鑑別が容易ではない. 今回我々は, 充実性卵巣腫瘍の術前診断で腹腔鏡下手術を施行し, 術中に左子宮円索から発生した平滑筋腫と診断した1例を経験した. 症例は51歳, 不正性器出血と過多月経を主訴に紹介となった. 術前の画像診断では, 粘膜下筋腫を含む多発子宮筋腫と, 左卵巣腫瘍を指摘された. 鏡視下手術所見で左卵巣腫瘍と思われた充実性腫瘍は左子宮円索から発生しており, 腫瘤の背側に腫瘍と連続性をもたない正常左卵巣を確認した. 今後, 捻転の可能性が否定できないこと, 組織学的診断の必要があると判断したため, 腫瘍摘出の方針とした. 腫瘍の子宮側は左卵巣固有靭帯との境界が不明であり卵巣の温存は困難と判断し左卵巣の合併切除の方針とした. 広間膜前葉, 後葉を切開し, 尿管の走行を確認したうえで, 骨盤側の左子宮円索と左骨盤漏斗靭帯をそれぞれ切断した.