腹腔鏡下神経温存広汎子宮全摘術における骨盤神経ネットワークの温存レベルと膀胱機能の相関関係について

【背景】 子宮頚癌根治術である広汎子宮全摘術においては広汎な傍子宮, 傍膣結合組織の切除により術後膀胱麻痺が高率に発症する. そのため骨盤神経ネットワーク(骨盤神経叢~膀胱枝)の温存を試みた神経温存広汎子宮全摘術が行われ一定の成績が認められる. その多くは下腹神経上縁を切開線とすることで骨盤神経叢を温存する術式(以下従来法)であると考えられる. しかし従来法は下腹神経を温存するため傍膣結合組織の切除範囲は狭まることとなり, 根治性の点から低リスクの子宮頚癌症例にのみ適応されているのが現状である. 骨盤神経叢は下腹神経(Th10-L2), 骨盤内臓神経(S2-4)から形成される前後(頭尾側)約4...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2013-11, Vol.29 (1), p.279-290
Hauptverfasser: 金尾祐之, 安藤正明, 高野みづき, 黒土升蔵, 海老沢桂子, 梅村康太, 由井瞳子, 藤原和子, 羽田智則, 太田啓明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【背景】 子宮頚癌根治術である広汎子宮全摘術においては広汎な傍子宮, 傍膣結合組織の切除により術後膀胱麻痺が高率に発症する. そのため骨盤神経ネットワーク(骨盤神経叢~膀胱枝)の温存を試みた神経温存広汎子宮全摘術が行われ一定の成績が認められる. その多くは下腹神経上縁を切開線とすることで骨盤神経叢を温存する術式(以下従来法)であると考えられる. しかし従来法は下腹神経を温存するため傍膣結合組織の切除範囲は狭まることとなり, 根治性の点から低リスクの子宮頚癌症例にのみ適応されているのが現状である. 骨盤神経叢は下腹神経(Th10-L2), 骨盤内臓神経(S2-4)から形成される前後(頭尾側)約40mm, 上下(腹背側)約25-30mmの菱形の構造物であることが分かっている1). 理論上は骨盤神経叢の上縁である下腹神経を完全に切除しても骨盤神経叢~膀胱枝を部分温存する術式は可能であり, 部分温存された骨盤神経ネットワークが何らかの膀胱機能を担っていると推測される.
ISSN:1884-9938