抗N-methyl-D-asparate (NMDA)受容体抗体脳炎を合併する卵巣奇形腫に対する腹腔鏡下手術 ―術中迅速病理診断の意義について
【緒言】 N-methyl-D-asparate(以下NMDA)受容体とは, シナプス後膜に局在するグルタミン酸受容体で, 記憶や学習, 神経細胞死などに深く関わる受容体である. 2007年Dalmauらによって報告された抗NMDA受容体抗体脳炎は, 卵巣奇形腫に合併する傍腫瘍性脳炎であり, 抗NMDA受容体抗体を介して生じる1). 具体的には, 卵巣奇形腫の神経組織細胞膜上に発現している抗原に対して, 感染などを契機に抗原提示細胞を介して免疫応答が誘導され, 中枢神経内に侵入した抗体が共通抗原を有する海馬や前脳の神経細胞のNMDA受容体に結合し, 受容体機能を障害するために発症すると推測され...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2012-12, Vol.28 (2), p.595-597 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【緒言】 N-methyl-D-asparate(以下NMDA)受容体とは, シナプス後膜に局在するグルタミン酸受容体で, 記憶や学習, 神経細胞死などに深く関わる受容体である. 2007年Dalmauらによって報告された抗NMDA受容体抗体脳炎は, 卵巣奇形腫に合併する傍腫瘍性脳炎であり, 抗NMDA受容体抗体を介して生じる1). 具体的には, 卵巣奇形腫の神経組織細胞膜上に発現している抗原に対して, 感染などを契機に抗原提示細胞を介して免疫応答が誘導され, 中枢神経内に侵入した抗体が共通抗原を有する海馬や前脳の神経細胞のNMDA受容体に結合し, 受容体機能を障害するために発症すると推測されている2). 精神症状, 痙攣, 記憶障害, 意識障害, 中枢性低換気を特徴とし, 発症年齢は15-42歳(平均27.4歳)といわれているが, 実際の頻度は不明である3). Dalmauらの報告では抗NMDA受容体抗体脳炎の約6割に奇形腫を合併し, 治療反応性疾患で完全寛解率70%であるが, その一方で死亡例や後遺症を残すとされている4). |
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ISSN: | 1884-9938 |