腹腔鏡下子宮内膜症手術時の尿管損傷に対して鏡視下尿管端端吻合術を行った1例

「緒言」深部子宮内膜症は, 骨盤内に広範囲な癒着性病変を形成し, しばしば尿管の解剖学的位置を変位させ, ときには尿管を機械的に圧迫, 閉塞しながら後腹膜腔深部へと進行する. このため, 尿管損傷は腹腔鏡下子宮内膜症手術時の重要な合併症の1つである. 今回我々は, 腹腔鏡下深部子宮内膜症摘出時に尿管を偶発的に損傷したが, 尿管カテーテルをガイドに腹腔鏡下尿管端々吻合術を行い, 終了後に尿管ステント(D-Jカテーテル)を留置し, 経過良好であった症例を経験したので報告する. 「症例」32歳. 2回経妊2回経産. 月経困難症を主訴に来院. 3ヶ月前から症状増悪し, 非月経時にも非ステロイド系抗炎症...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2010-12, Vol.26 (2), p.397-400
Hauptverfasser: 伊藤美幸, 徳重誠, 井上卓也, 岡田由貴子, 高島明子, 谷口文章, 杉並洋, 相馬隆人, 奥野博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」深部子宮内膜症は, 骨盤内に広範囲な癒着性病変を形成し, しばしば尿管の解剖学的位置を変位させ, ときには尿管を機械的に圧迫, 閉塞しながら後腹膜腔深部へと進行する. このため, 尿管損傷は腹腔鏡下子宮内膜症手術時の重要な合併症の1つである. 今回我々は, 腹腔鏡下深部子宮内膜症摘出時に尿管を偶発的に損傷したが, 尿管カテーテルをガイドに腹腔鏡下尿管端々吻合術を行い, 終了後に尿管ステント(D-Jカテーテル)を留置し, 経過良好であった症例を経験したので報告する. 「症例」32歳. 2回経妊2回経産. 月経困難症を主訴に来院. 3ヶ月前から症状増悪し, 非月経時にも非ステロイド系抗炎症薬の内服が一日4回程度必要であった. 内診上子宮は鵞卵大に腫大し, 子宮後壁の圧痛を認め, 骨盤内臓器が一塊として動く, いわゆるfrozen pelvisの所見であった. 経膣超音波にて, 左付属器にチョコレート嚢腫様の径8cmの腫瘤を認め, MRI上は子宮後壁の子宮腺筋症と, 両側卵巣チョコレート嚢腫, 骨盤内癒着が疑われる所見であった(図1).
ISSN:1884-9938