P-1018 高度癒着が予測された頻回開腹術施行後の腹腔鏡下婦人科手術の1例
症例は74歳の4回経妊2回経産の婦人で閉経は55歳である. 既往歴としては23歳にて片側付属器切除術を, 49歳にて胃全摘術を, 更に59歳にて胆嚢切除術をそれぞれ開腹にて施行している. 近医にて右卵巣腫瘍と診断され, 2010年1月18日手術目的にて当科に紹介された. 初診時, 経膣超音波およびMRI検査による画像診断では43*33mmの右側充実性腫瘤を認め, 導灯細胞腫或いは線維腫が疑われたが, 腫瘍マーカー(CA125, CA19-9, CEA)および性ホルモン(E2, P4)値には異常を認めなかった. 頻回の開腹術が施行され, 高度癒着も予測されたため今回も開腹術を勧めた. しかしご本...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2010, Vol.26 (1), p.219-219 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は74歳の4回経妊2回経産の婦人で閉経は55歳である. 既往歴としては23歳にて片側付属器切除術を, 49歳にて胃全摘術を, 更に59歳にて胆嚢切除術をそれぞれ開腹にて施行している. 近医にて右卵巣腫瘍と診断され, 2010年1月18日手術目的にて当科に紹介された. 初診時, 経膣超音波およびMRI検査による画像診断では43*33mmの右側充実性腫瘤を認め, 導灯細胞腫或いは線維腫が疑われたが, 腫瘍マーカー(CA125, CA19-9, CEA)および性ホルモン(E2, P4)値には異常を認めなかった. 頻回の開腹術が施行され, 高度癒着も予測されたため今回も開腹術を勧めた. しかしご本人の強い希望があったため, そのリスクを充分説明し, 腹腔鏡手術を行った. 手術は最も癒着の可能性が低いと思われた右下腹部より1.5cm open法にてfirst approachを行った. 同部位よりカメラを挿入し腹腔内を観察するに史部左側より頭側は腸管相互および腹壁に高度癒着を認めたが, 尾側にはほとんど癒着を認めなかった. 従って臍部腸管癒着より1.5cm尾側にsecond trocarをclosed法にて挿入した. 更にを左下腹部にThird trocarを挿入した. 右付属器は無く, 右付属器領域に認めた腫瘤は漿膜下筋腫と確認され, 腹腔鏡補助下筋腫摘出および左付属器切除術を施行した. 本症例は頻回の開腹術と悪性腫瘍による広範囲手術のため高度癒着が予測され, 更に他臓器・悪性腫瘍の可能性があり, 開腹術が良好と思われた. しかしながら, 本症例の様に加重的リスクの可能性が示唆される症例でも術前の充分なリスクの説明を行うことにより腹腔鏡手術を安全に行い, 結果的に多角的な有益性を得る事が出来ると思われた. 今後もリスク管理の保全・向上を追求して行きたい. |
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ISSN: | 1884-9938 |