O-1432 月経困難症を主訴とし, 腹腔鏡下摘出が著効した子宮腺筋症合併非交通性副角子宮の一例

【緒言】副角子宮は, 米国不妊学会(ASRM)のMuler管奇形分類のtype H(単角子宮)に相当し, その頻度は全女性の0.1%, 子宮奇形の10%と推定されている. 今回我々は, 左非交通性副角子宮type IIbに子宮腺筋症を合併し, 高度の月経困難症を呈し, 腹腔鏡補助下に副角子宮を摘出することで症状の改善をみた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 【症例】41歳, 6経妊4経産で, 鈍角子宮, 片側卵管閉鎖を指摘されていた. 20代より月経困難症状が出現していたが, 増強したため当科を受診した. 子宮頚部は単一で, 子宮体部の左側に有痛性, くるみ大の腫瘤を触知し, 超音...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2010, Vol.26 (1), p.187-187
Hauptverfasser: 佐藤朝臣, 山中良彦, 丸尾伸之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【緒言】副角子宮は, 米国不妊学会(ASRM)のMuler管奇形分類のtype H(単角子宮)に相当し, その頻度は全女性の0.1%, 子宮奇形の10%と推定されている. 今回我々は, 左非交通性副角子宮type IIbに子宮腺筋症を合併し, 高度の月経困難症を呈し, 腹腔鏡補助下に副角子宮を摘出することで症状の改善をみた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 【症例】41歳, 6経妊4経産で, 鈍角子宮, 片側卵管閉鎖を指摘されていた. 20代より月経困難症状が出現していたが, 増強したため当科を受診した. 子宮頚部は単一で, 子宮体部の左側に有痛性, くるみ大の腫瘤を触知し, 超音波上内部に高エコー領域を含む径4cm大の腫瘤を認めた. ダグラス窩に腹水貯留を認め, 附属器の腫大はなく, 両側腎臓は正常大であった. 子宮附属器炎, 骨盤腹膜炎は否定的であった. MRI上右単角子宮, および機能性子宮内膜を有しかつ子宮腺筋症を合併した左副角子宮と診断した. 造影CT, 排泄性尿路造影検査では, 子宮動脈, 尿管の走行には特記すべき偏位は見られなかった. 月経痛に対する恐怖感が強いため, 手術待期期間にGnRHを投与し, 腹腔鏡下に左副角子宮を摘出した. 左軸角子宮は強固な結合織で右単角子宮と連続し, 内膜の存在が確認できたが, 内心の交通は認められなかった. 術後88日目に月経が由来し, 月経困難症は改善した. 【考察】注意深く観察すれば超音波断層法で副角子宮疑い例を拾い上げることが可能であるが, MRIは副角子宮と単角子宮の位置関係, 内腔の交通性, 留血症の有無, 子宮腺筋症の有無など多くの情報を得ることができ, 診断に非常に有用である. 治療に関しては, パワーソースやバゾプレッシンを使用することで, 副角子宮に対して低侵襲で, 出血量の少ない安全な摘出手術を腹腔鏡下に施行可能である.
ISSN:1884-9938