O-1147 若年性卵巣腫瘍茎捻転の1例

症例は12歳, 性交渉歴なし, 月経は発来していない. 既往歴, 家族歴ともに特記すべきことはない. 以前より軽い腹痛を繰り返していたが, すぐに軽快するため放置していた. 3日前より下腹部の激痛を認め当院小児科を受診した. 便培養検査にてカンピロバクター感染の疑いとなったが, 痛みが強いため当科紹介受診となった. 腹部は全体的にやや硬く, 左下腹部に圧痛を認めた. 腹膜刺激症状は軽度であったが痛みは強く, 常に半屈位をとっていた. 経腹, 経直腸超音波検査では内部構造をもつ血腫様のmassを認めたが, 全体像ははっきりしなかった. MRIでは左下腹部に内部構造をもつ7cm大の腫瘍を認め, 卵...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2010, Vol.26 (1), p.90-90
Hauptverfasser: 田中智人, 岩井恵美, 神田隆善, 山下能毅, 寺井義人, 奥田喜代司, 大道正英
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は12歳, 性交渉歴なし, 月経は発来していない. 既往歴, 家族歴ともに特記すべきことはない. 以前より軽い腹痛を繰り返していたが, すぐに軽快するため放置していた. 3日前より下腹部の激痛を認め当院小児科を受診した. 便培養検査にてカンピロバクター感染の疑いとなったが, 痛みが強いため当科紹介受診となった. 腹部は全体的にやや硬く, 左下腹部に圧痛を認めた. 腹膜刺激症状は軽度であったが痛みは強く, 常に半屈位をとっていた. 経腹, 経直腸超音波検査では内部構造をもつ血腫様のmassを認めたが, 全体像ははっきりしなかった. MRIでは左下腹部に内部構造をもつ7cm大の腫瘍を認め, 卵巣腫瘍の茎捻転を疑った. 腹腔鏡による緊急手術となったが, 左卵巣は暗赤色で出血を伴い卵管を巻き込んで約7cmに腫大していた. 捻転解除を試みたが色調は改善せず手術まで60時間以上経過していたため左付属器摘出術を施行した. 摘出時に毛髪を認め, 病理診断は成熟奇形腫の茎捻転であった. 術後経過は良好で4日後に退院となった. 今回は手術までに60時間以上経過していたこと, MRIでは脂肪抑制がかからず摘出時まで奇形腫とわからなかったこと, 肉眼的に組織の状態が悪かったことなどから付属器摘出を選択した. 若年性の付属器捻転, 捻転解除の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1884-9938