卵管鏡下卵管形成術のトラブルシューティングに必要な技術条件

【背景】本邦における卵管鏡は, 伸長性バルーンカテーテルを組み合わせることにより, 卵管通過障害に対する治療法として発展し, 普及している. とりわけ間質部を含む近位部の卵管閉塞・狭窄は頻度が高く, かつ治療効果が高い. IVFにおける胚移植あたりの妊娠率は30%以下で, 自費負担であり, 対費用効果の観点からも若い不妊症カップルには卵管塗下卵管形成術(falloposcopic tuboplasty:FT)は有意義な選択肢である. しかし, 多少複雑な操作上の問題と, 未経験のトラブルへの対応を迫られる場面があり, 初学者が安定的に実施するには, 一定の回数の実地経験が必要となり, その便法...

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Hauptverfasser: 佐藤卓, 末岡浩, 櫻井友義, 中林章, 渡邊広是, 佐藤健二, 田島博人, 高橋香織, 村越行高, 古谷正敬, 橋場剛士, 浅田弘法, 吉村泰典
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【背景】本邦における卵管鏡は, 伸長性バルーンカテーテルを組み合わせることにより, 卵管通過障害に対する治療法として発展し, 普及している. とりわけ間質部を含む近位部の卵管閉塞・狭窄は頻度が高く, かつ治療効果が高い. IVFにおける胚移植あたりの妊娠率は30%以下で, 自費負担であり, 対費用効果の観点からも若い不妊症カップルには卵管塗下卵管形成術(falloposcopic tuboplasty:FT)は有意義な選択肢である. しかし, 多少複雑な操作上の問題と, 未経験のトラブルへの対応を迫られる場面があり, 初学者が安定的に実施するには, 一定の回数の実地経験が必要となり, その便法についても整理される必要がある. 【目的】FT初学者が, 安定的にFTを実施するための要領を明らかにする. 【方法】2007年11月から2009年5月までに, 慶應義塾大学病院にて, 習熟したインストラクターの指導のもとに, 未経験術者が82症例のFTを実施した過程で体得しえた工夫に関する知見について報告する. 【結果】初学者にとっては, 卵管の通過障害部位における抵抗を数値上でも管理が困難であり, 手の感覚として体得することが必要となる. 前進して開口するための強度を持ち合わせているが, その限界を習得する必要がある. これを判断出来ないことで, スコープの破損の可能性が生じる. また前進操作を継続か否かで, 抵抗時に操作の判断に迷うこともしばしば経験した. いずれのケースもスコープとバルーンカテーテルが円滑に作動しているかを判定するために, 原則に立ち戻り「イレブンルール」を遵守・徹底することで対応した. また, カテーテルをCornual gutterに固定し, 子宮腔内へ回旋することを回避し, 確実に卵管内に挿入するために, 2cm eversionの後に一度バルーンを戻して卵管子宮口を確認する手法が有効であった. 【結論】30例程度の多様な症例を経験し, 操作技術を習得することにより安定的が可能と考えられた.
ISSN:1884-9938