術前に診断し腹腔鏡下に摘出し得た腹腔内異物(ガーゼオーマ)の一例

腹腔内に長年遺残した異物(ガーゼオーマ)の摘出手術は周囲との癒着や器質化により手技的に困難を伴う. 術前にガ一ゼオーマと診断, 腹腔鏡下に摘出した症例を報告する. 【症例】34歳, 0経妊. 9年前, 他院で開腹による両側卵巣子宮内膜症性嚢胞摘出術を施行された. 5年前より近医でGnRHa投与とピル治療を受けたが嚢胞が増大. 2008年6月, 手術を希望して当科を受診. 両側卵巣の腫大と癒着を認めた. 経膣超音波にて踏外腸骨脈管近傍にアコースティックシャドーを有する非典型的な画像を有する腫瘤を認めた. 骨盤MRIでは両側卵巣子宮内膜症性嚢胞疑いとの診断であったが, 腹部単純X線撮影を施行した結...

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Hauptverfasser: 渡辺美千明, 山田隆, 阿部裕子, 石川温子, 石川源, 鴨井青龍, 明楽重夫, 竹下俊行
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:腹腔内に長年遺残した異物(ガーゼオーマ)の摘出手術は周囲との癒着や器質化により手技的に困難を伴う. 術前にガ一ゼオーマと診断, 腹腔鏡下に摘出した症例を報告する. 【症例】34歳, 0経妊. 9年前, 他院で開腹による両側卵巣子宮内膜症性嚢胞摘出術を施行された. 5年前より近医でGnRHa投与とピル治療を受けたが嚢胞が増大. 2008年6月, 手術を希望して当科を受診. 両側卵巣の腫大と癒着を認めた. 経膣超音波にて踏外腸骨脈管近傍にアコースティックシャドーを有する非典型的な画像を有する腫瘤を認めた. 骨盤MRIでは両側卵巣子宮内膜症性嚢胞疑いとの診断であったが, 腹部単純X線撮影を施行した結果, X線ガーゼ遺残によるガーゼオーマと診断した. 【術前経過】患者に前回手術時のガーゼ遺残と説明し手術施行医に診療情報を提供したが, 患者は当院での腹腔鏡手術を希望して再度来院. 経腹超音波診でガーゼオーマは腹壁および周囲腸管との癒着が示唆された. 現状でガーゼオーマの症状がないこと, 手術をしてもガーゼオーマの摘出が十分できない可能性および大血管や腸管損傷の発生, 腸管切除・人工肛門増設などのリスクを充分説明し, 腹腔鏡下にガーゼオーマ摘出術および両側卵巣子宮内膜症性嚢胞摘出術を湯腹法で施行した. 【手術】大網の癒着剥離を施行. 右下腹部に回腸末端を巻き込んだ腫瘤があり, 腸管を愛護的に剥離した. 腹壁に癒着し被包化されたクルミ大のガーゼオーマ内部にX線ガーゼの存在を確認. 回収袋を展開しガーゼオーマを腹壁から分離, 摘出した. 回腸の漿膜欠損部位に対し, 下腹部正中の切開を延長しシリコーン創部保護器具を装着して体外式に修復補強縫合をおこなった. その後, 子宮内膜症病巣に対して鏡視下に手術を施行したが, 両側卵巣周囲および直腸前面の瘢痕性病巣は残存した. 術後合併症は見られず術後6日目に退院. ジェノゲストによる追加治療を施行中である.
ISSN:1884-9938