当科における子宮鏡下手術の検討

【目的】子宮鏡下手術は低侵襲手術であり術後の回復が早いだけでなく, 粘膜下子宮筋腫や子宮内膜ポリープによる不妊症患者の治療に有効であり, さらに, 治療後の分娩は経膣分娩が可能でありそのニーズは拡大している. また, 子宮鏡下手術は比較的安全であるが, 水中毒などの重篤な合併症を引き起こすことも報告されている. 今回, 当科での子宮鏡下手術の現状を検討したので報告する. 【方法】検討期間は2002年から2008年の7年間で, その間の治療成績ならびに合併症について検討した. 【結果】当科で施行した子宮鏡下手術は計155件であった. その内訳は, 子宮筋腫摘出術70件, 有茎粘膜下筋腫切除術8件...

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Hauptverfasser: 小畑孝四郎, 三橋洋治, 大村元, 天野陽子, 生駒直子, 井上芳樹
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】子宮鏡下手術は低侵襲手術であり術後の回復が早いだけでなく, 粘膜下子宮筋腫や子宮内膜ポリープによる不妊症患者の治療に有効であり, さらに, 治療後の分娩は経膣分娩が可能でありそのニーズは拡大している. また, 子宮鏡下手術は比較的安全であるが, 水中毒などの重篤な合併症を引き起こすことも報告されている. 今回, 当科での子宮鏡下手術の現状を検討したので報告する. 【方法】検討期間は2002年から2008年の7年間で, その間の治療成績ならびに合併症について検討した. 【結果】当科で施行した子宮鏡下手術は計155件であった. その内訳は, 子宮筋腫摘出術70件, 有茎粘膜下筋腫切除術8件, 子宮内膜ポリープ切除術63件, 子宮筋腫摘出+ポリープ摘出術3件, 遺残胎盤(胎盤ポリープ)摘出術7件, 子宮内癒着剥離術2件, 子宮内異物摘出術1件, 処女膜切除術1件であった. 合併症はTCR後の切除断端部出血が1例(0.6%), 水中毒が2例(1.3%)に認められた. TCR後の切除断端部出血の症例はHb1.8g/dlと強度の貧血を伴う有茎粘膜下筋腫(筋腫分娩)で, 輸血後TCRを施行したところ, 病理病理組織学的に腺癌(類内膜腺癌)が発見されたため広汎子宮全摘術の予定の2日前に, TCR後の切除断端部から止血不可能な強度の出血を認めたため, 緊急手術となった. 水中毒の1例は軽症であったが, もう1例は61の環流液が体内に入り, 低ナトリウム血漿を起こしたため, 途中で手術を中断した. 【考察】重篤な水中毒の症例は粘膜下子宮筋腫で, この症例は術前の頸管拡張が十分できなかったことと, 子宮筋層にもぐり込んだ比較的大きな筋腫であったことなど複数の要因が加わって発症したものと考えられた.
ISSN:1884-9938