腹部手術既往症例に対する腹腔鏡手術の検討
(目的)一般に腹部手術の既往がある場合は, 腸管などの腹壁癒着が想定されることから腹腔鏡手術の際のfirst approachには十分な注意を要する. また手術の際には, closed法のように盲目的方法は避けるべきでありopen法が推奨される. 我々は以前より皮下鋼線吊り上げ法を用い腹部手術の既往に関係なく腹腔鏡手術を行なってきたが, 今回その取り扱いについて検討を加えたので報告する. (対象と方法)平成19年1月から平成20年12月までの間に東京医科大学病院にて腹腔鏡手術が行なわれた760例のうち腹部手術既往のあった90例を対象とした. 腹部手術既往症の内訳は, 虫垂切除術46例, 帝王切...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | (目的)一般に腹部手術の既往がある場合は, 腸管などの腹壁癒着が想定されることから腹腔鏡手術の際のfirst approachには十分な注意を要する. また手術の際には, closed法のように盲目的方法は避けるべきでありopen法が推奨される. 我々は以前より皮下鋼線吊り上げ法を用い腹部手術の既往に関係なく腹腔鏡手術を行なってきたが, 今回その取り扱いについて検討を加えたので報告する. (対象と方法)平成19年1月から平成20年12月までの間に東京医科大学病院にて腹腔鏡手術が行なわれた760例のうち腹部手術既往のあった90例を対象とした. 腹部手術既往症の内訳は, 虫垂切除術46例, 帝王切開術14例, 下腹部開腹術16例, 上腹部開腹術6例, 腹腔鏡手術14例, 鼠径ヘルニア手術9例であり, 既往手術回数は, それぞれ1回79例, 2回9例, 3回2例であった. 術野確保は, 皮下鋼線吊り上げ法, first approachはopen法により行なわれた. (結果)腹腔鏡手術の術式内訳は, 卵巣腫瘍核出術37例, 付属器摘出術12例, 筋腫核出術19例, 子宮外妊娠手術9例, 子宮全摘術8例, その他4例であった. このうち腹腔内癒着有りが56例(62%), 無しが34例(38%)であり, 癒着著明のため観察後に2例, 腸管損傷のため1例が開腹に移行した. 他家輸血症例はなかった. (結論)皮下鋼線吊り上げ法を用いることで腹部 手術既往症例も適応外とならず手術が行なえた. 特に虫垂切除術既往症例では, 前回の切開創部と同一部位に腹壁孔を作成することで美容的にかつ安全に手術が行なえた. 以上より, 皮下鋼線吊り上げ法は, 腹部手術既往症例の腹腔鏡手術に有用性が高いと考える. |
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ISSN: | 1884-9938 |