診断と治療方針の決定において, 腹腔鏡が有用であった悪性腫瘍の3例

(緒言)初期の診断と治療方針の決定に苦慮し, 腹腔鏡が有用であった悪性腫瘍の3例を経験したので報告する. (症例1)75歳, 下血を主訴に最適受診. 大腸内視鏡検査にて直腸の狭窄を認め, 組織診にて腺癌であったため, 直腸癌と診断. すでに多発肺転移あり, FOLFOX療法の適応としたが, CTにて骨盤内に手拳大の多房性腫瘤を認めたため, 卵巣癌 を疑い当院へ紹介. 内診では, 腫瘤は骨盤内に強固に癒着し一塊となって発育し, 卵巣原発か鑑別困難であった. 診断目的にて, 腹腔鏡手術を実施. 嚢胞性腫瘤は, S状結腸を巻き込むように発育していた. 腫瘍組織を一部採取し病理診断を行い, 卵巣類内膜...

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Hauptverfasser: 黒土升蔵, 松山幸代, 木野本智子, 河合要介, 針山由美, 成田道彦
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:(緒言)初期の診断と治療方針の決定に苦慮し, 腹腔鏡が有用であった悪性腫瘍の3例を経験したので報告する. (症例1)75歳, 下血を主訴に最適受診. 大腸内視鏡検査にて直腸の狭窄を認め, 組織診にて腺癌であったため, 直腸癌と診断. すでに多発肺転移あり, FOLFOX療法の適応としたが, CTにて骨盤内に手拳大の多房性腫瘤を認めたため, 卵巣癌 を疑い当院へ紹介. 内診では, 腫瘤は骨盤内に強固に癒着し一塊となって発育し, 卵巣原発か鑑別困難であった. 診断目的にて, 腹腔鏡手術を実施. 嚢胞性腫瘤は, S状結腸を巻き込むように発育していた. 腫瘍組織を一部採取し病理診断を行い, 卵巣類内膜腺癌と診断された. 直腸の組織標本とも一致したため, 卵巣癌, 直腸浸潤と確定診断され, TC療法の適応とした. (症例2)76歳, 半年前より性器出血を自覚していたが放置. しだいに腹部膨満をきたし, 当院受診. 子宮及び付属器は共に著明に腫大し, 著明な腹水を認めた. 子宮頸部細胞診と組織診, 腹水細胞診はすべて陰性で, 腫大により子宮口は閉鎖し子宮内膜の検査は困難であった. 病理診断が得られないため, 腹腔鏡手術を実施し, 腫大した付属器腫瘍より一部組織を採取. 病理診断は, 粘液性腫瘍境界悪性であった. DC療法を3コース行ったところ, 腫瘍は著明に縮小したため, 子宮及び両側付属器摘出術を行った. (症例3)82歳, 肺腺癌にて化学療法中であったが, 多量の腹水貯留にて紹介. 腹水細胞診にて腺癌と診断. 内診では, 子宮および付属器は正常大であった. 腹膜原発癌を疑い診断を確定するため, 腹腔鏡手術を実施. 腹腔内は, 多量の腹水と米粒大の播種病変が多発していた. 後日免疫染色による病理検査にて, 肺癌由来の腺癌であり, 肺腺癌腹膜播種と診断された. (考察)確定診断が得られず, 治療方針の決定に苦慮する症例では, 腹腔鏡を用いることにより, 少ない侵襲で有益な腹腔内所見が得られ非常に有用であると考えられた.
ISSN:1884-9938