全腹腔鏡下子宮全摘出術(TLH)後に発症した経膣内臓脱出症(vaginal evisceration : VE)の3例
経膣内臓脱出症(vaginal evisceration : VE)は, 経膣手術後に腸管, 大網などが脱出する稀な病態であるが, このたびわれわれは全腹腔鏡下子宮全摘出術(TLH)後に膣断端が離開し腸管が脱出した症例を3例経験したので報告する. 3例はともに過多月経を伴う子宮筋腫の診断でTLHを行い術中術後経過はとくに異常を認めず退院した. 3例に共通する膣断端処理は, 膣管をモノポーラ電気メスおよび超音波凝固切開装置で切開, 膣式に子宮を摘出, 膣断端を体内法でマルチフィラメント吸収糸を用いて連続縫合あるいは数針のZ縫合で一層に閉鎖した. VE発症までの日数は子宮摘出からそれぞれ52日,...
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Zusammenfassung: | 経膣内臓脱出症(vaginal evisceration : VE)は, 経膣手術後に腸管, 大網などが脱出する稀な病態であるが, このたびわれわれは全腹腔鏡下子宮全摘出術(TLH)後に膣断端が離開し腸管が脱出した症例を3例経験したので報告する. 3例はともに過多月経を伴う子宮筋腫の診断でTLHを行い術中術後経過はとくに異常を認めず退院した. 3例に共通する膣断端処理は, 膣管をモノポーラ電気メスおよび超音波凝固切開装置で切開, 膣式に子宮を摘出, 膣断端を体内法でマルチフィラメント吸収糸を用いて連続縫合あるいは数針のZ縫合で一層に閉鎖した. VE発症までの日数は子宮摘出からそれぞれ52日, 54日, 74日で, 発症契機はいずれも性交であった. VEに対して全身麻酔下に開腹し, 離開した膣断端をマルチフィラメント吸収糸のZ縫合計針で閉鎖した. 当院では2001年か ら2007年の間, LHに際して膣管の切開は体内から 超音波凝固切開装置で一部開放後経膣的に剪刀で切開し, 憶断端は経膣的にマルチフィラメント吸収糸で縫合閉鎖していた. その症例数は492例でVEの発症はなかった. その後体内結紮法を導入, 現在まで115例を行っているが, VEの発症率は2.6%となっている. VE発症の契機は性交で, そこには何らかの膣断端癒合不全が存在したものと考えられる. その原因として膣管切開時のパワーソースによる膣壁の熱損傷および炎症, Gn-RHag投与による低エストロゲン状態に起因する膣粘膜の修復機能低下, 適正な性交再開時期が不明などが挙げられる. これらを考慮しVEの予防対策として, 膣管切開は電気メス切開モードおよび超音波凝固切開装置最高出力で迅速に行うこと, 膣断端縫合はまず連続縫合で一層縫合を行いさらに数針のZ縫合で二層縫合を行うこと, Gn-RHag使用例では術後ERTを行うこと, VEの可能性を患者に説明し性交再開を術後3か月と指導することとした. 今後も発症予防にむけて検討を重ねる必要があると考えている. |
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ISSN: | 1884-9938 |