O-2421 TVM(Tension Free-Vaginal Mesh)後に再発した子宮脱に対しLAVH+腹腔鏡下腟断端仙骨前面固定術を施行した一症例:手技と膀胱損傷の術中合併症

緒言:骨盤臓器脱に対しプロリンメッシュを用いたTVM(Tension Free-Vaginal Mesh)法が開発され, 日本でも広まりつつある. しかし歴史の浅い手術のため, 合併症であるメッシュ糜爛や, 再発時の対策に対し方針は決まっていない. 今回我々は, 術後メッシュ糜爛と完全脱となった症例に対し, LAVH+腹腔鏡下腟断端仙骨前面固定を施行したので, その方法と膀胱損傷の術中合併症につき報告する. 症例:69歳, 5妊3産. 子宮脱に対し当科にてTVMを施行した. 術後1ヶ月でメッシュ糜爛となり, 露出メッシュの切除とエストリール投与施行したが根治せず. 3ヶ月で完全脱になった. リ...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2008, Vol.24 (1), p.165-165
Hauptverfasser: 鍋島寛志, 柏舘直子, 菅原登, 西本光男, 安藤正明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言:骨盤臓器脱に対しプロリンメッシュを用いたTVM(Tension Free-Vaginal Mesh)法が開発され, 日本でも広まりつつある. しかし歴史の浅い手術のため, 合併症であるメッシュ糜爛や, 再発時の対策に対し方針は決まっていない. 今回我々は, 術後メッシュ糜爛と完全脱となった症例に対し, LAVH+腹腔鏡下腟断端仙骨前面固定を施行したので, その方法と膀胱損傷の術中合併症につき報告する. 症例:69歳, 5妊3産. 子宮脱に対し当科にてTVMを施行した. 術後1ヶ月でメッシュ糜爛となり, 露出メッシュの切除とエストリール投与施行したが根治せず. 3ヶ月で完全脱になった. リングにて外来管理も手術希望強く, 術後1年で再手術となった. 慎重なインフォームドコンセントを施行し, LAVH+付属器切除+メッシュによる腟断端仙骨前面固定を選択した. 4ポートアプローチにて腹腔鏡施行. 上部靭帯を腹腔鏡下に切断した. 腟前壁の剥離の際に, メッシュ周辺が器質化し癒着剥離が困難で膀胱損傷となり, 再度慎重に膀胱を剥離し腟式に子宮を摘出した後に二層で修復した. 腹腔鏡下に, 安藤らの方法によって後腹膜下トンネルを作成, プロリンメッシュを腟断端, 仙骨前面に固定してメッシュを腹膜下に被覆した. 手術時間240分, 術中出血は76g. 術後1週間で膀胱カテーテルを抜去. 排尿も良好で, 現在のところ再発兆候はない. 考察:TVMは非吸収性のメッシュに起因する独特の合併症があり, 当科の経験からは完全脱症例は再発のリスクが高い印象がある. 再手術はメッシュの癒着による難しさがあり, 再々発のリスクを考えればより強固な固定術が必要と考えられる. 今回我々は現時点で最も完全な方法と思われる仙骨前面固定を施行し良好な結果を得たが, 膀胱の剥離に難渋し, 膀胱損傷の合併症を起こした. 結語:TVM手術は確かに効果的であるが, 術後の合併症や再手術の困難さを考慮すると適応, 症例の選択などに関しさらなる検討が望まれる.
ISSN:1884-9938