O-2205 病変部位に関する卵管鏡下卵管形成の適応と治療指針
卵管鏡下卵管形成(FT)は, 卵管内腔病態の観察とともに通過性回復のための有効な治療法として位置づけられてきた. FT法の最大の意義は, 卵管内腔癒着の剥離による卵管通過性の回復にある. 低侵襲な直立管的アプローチによるFTは, 外来診療でも軽度の麻酔で実施可能である. 卵管通過性回復成績は従来の手術では困難であった間質部閉鎖を含む近位部閉鎖に高い実績が得られ, 体外受精が主流となった卵管不妊に対して, 新たな選択肢を提供するに至っている. 器質的癒着を対象とする卵管通過性回復成績は, 卵管ベースで, 97.9%を示し, このうち術後1~3ヶ月後の再閉塞は約10%であった. 卵管通過性回復に関...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2008, Vol.24 (1), p.139-139 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 卵管鏡下卵管形成(FT)は, 卵管内腔病態の観察とともに通過性回復のための有効な治療法として位置づけられてきた. FT法の最大の意義は, 卵管内腔癒着の剥離による卵管通過性の回復にある. 低侵襲な直立管的アプローチによるFTは, 外来診療でも軽度の麻酔で実施可能である. 卵管通過性回復成績は従来の手術では困難であった間質部閉鎖を含む近位部閉鎖に高い実績が得られ, 体外受精が主流となった卵管不妊に対して, 新たな選択肢を提供するに至っている. 器質的癒着を対象とする卵管通過性回復成績は, 卵管ベースで, 97.9%を示し, このうち術後1~3ヶ月後の再閉塞は約10%であった. 卵管通過性回復に関して, 病変部位による治療成績の差は認められない. しかし, 卵管閉塞症例のなかで間質部閉塞は75.4%と最も高頻度に発生し, 次いで, 峡部15.8%, 膨大部16.8%の順であった. 単一の部位のみならず, 多発性の卵管内病変を有する例は, 確認されたものだけでも卵管閉塞症例の少なくとも約半数を占めることから, 従来の手術療法に比べ, FTが高い有効性を示す根拠となっている. 治療の限界として, FTカテーテルの全長が10cmであり, 内腔側を治療することから, 卵管膨大部の末梢部, または卵管采病変, とくに卵管留水症に対しては, 腹腔鏡下の卵管形成が必要となる. また, 卵管外面の病態に対する治療は, 腹腔鏡によって行われるものであり, 当初から疑われる場合には腹腔鏡の併用手術が選択される. 妊孕性の回復の視点から, 遠位部病変のなかで, 卵管留水症は, 卵管ひだやciliaなどの微細構造の変化が再生できないことから, 近位部病変に比べて卵管を用いての妊娠成績は高くないが, 原病の治療を行うことなく体外受精を選択しても, 貯留した卵管液の子宮内流入が着床を妨げるとの指摘もあり, 体外受精に優先させて卵管治療を行うべきである. |
---|---|
ISSN: | 1884-9938 |