妊娠合併卵巣腫瘍に対する吊り上げ式腹腔鏡下手術(麻酔法と術後疼痛管理について)

「はじめに」妊娠に合併した卵巣腫瘍の合併は比較的良く遭遇する疾患である1). 妊娠中の手術としてはより侵襲の低いこと, 肺塞栓の観点より早期離床が可能なこと, 術後の疼痛管理上から腹部切開もできるだけ小さい傷であることが望まれ, 腹腔鏡下手術はその適応, 手術時期, 術式などを慎重に決定し, 手術操作が安全に行えるのであれば, 術後のQOL向上に寄与すると考えられる. 以前は, 全身麻酔や二酸化炭素による気腹法は胎児に対する影響が懸念され比較的禁忌とされてきた. 1990年頃より欧米では胆嚢炎や虫垂炎などの妊娠中の非婦人科疾患に対する腹腔鏡下手術が施行され, その安全性が報告され2-4), 近...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2007, Vol.22 (2), p.449-453
Hauptverfasser: 兒玉尚志, 牧野洋子, 佐野祥子, 谷本博利, 永井宣隆, 三田尾賢
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」妊娠に合併した卵巣腫瘍の合併は比較的良く遭遇する疾患である1). 妊娠中の手術としてはより侵襲の低いこと, 肺塞栓の観点より早期離床が可能なこと, 術後の疼痛管理上から腹部切開もできるだけ小さい傷であることが望まれ, 腹腔鏡下手術はその適応, 手術時期, 術式などを慎重に決定し, 手術操作が安全に行えるのであれば, 術後のQOL向上に寄与すると考えられる. 以前は, 全身麻酔や二酸化炭素による気腹法は胎児に対する影響が懸念され比較的禁忌とされてきた. 1990年頃より欧米では胆嚢炎や虫垂炎などの妊娠中の非婦人科疾患に対する腹腔鏡下手術が施行され, その安全性が報告され2-4), 近年, 本邦においても妊娠中の卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術の症例が報告され, その安全性は確立されつつある5-10). 腹腔鏡の方法については吊り上げ法4,6-8)や気腹法5,9,10), 麻酔方法についても脊椎麻酔4,6,7)や全身麻酔5,8-10)など施設によりいろいろな方法が選択され, 多くの施設よりその安全性が報告されているが, 全身麻酔での使用薬剤や炭酸ガス気腹の妊婦や胎児に対する影響を考慮すると, 脊椎麻酔(硬膜外麻酔)下での吊り上げ法による手術がより低侵襲と思われる.
ISSN:1884-9938