O-1037 帝王切開瘢痕部妊娠に対して腹腔鏡下に子宮動脈を結紮後, 病巣摘除およびMTX局注療法を行い治癒した1例
帝王切開瘢痕部妊娠は, 時に子宮破裂や大量出血を起こし致命的となりうるため, 慎重な治療が必要となる. MTX療法, D&C, 妊娠部除去, 子宮全摘術などが報告されているが, 治療中に大量出血や子宮破裂の合併症をきたしやすく, 報告例も少ないため治療方法が確立されていないというのが現状である. 治療が長期間にわたるため出血のリスクが長引くMTX療法に対して, 外科的療法は術中の大量出血のリスクがある. 腹腔側からのアプローチで外科的に妊娠部を除去する術式は, PubMedの検索では13例報告されているが, 腹腔鏡で行ったのは1施設4例のみである. 我々は腹腔鏡下で両側子宮動脈を結紮し...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2007, Vol.22 (2), p.325-325 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 帝王切開瘢痕部妊娠は, 時に子宮破裂や大量出血を起こし致命的となりうるため, 慎重な治療が必要となる. MTX療法, D&C, 妊娠部除去, 子宮全摘術などが報告されているが, 治療中に大量出血や子宮破裂の合併症をきたしやすく, 報告例も少ないため治療方法が確立されていないというのが現状である. 治療が長期間にわたるため出血のリスクが長引くMTX療法に対して, 外科的療法は術中の大量出血のリスクがある. 腹腔側からのアプローチで外科的に妊娠部を除去する術式は, PubMedの検索では13例報告されているが, 腹腔鏡で行ったのは1施設4例のみである. 我々は腹腔鏡下で両側子宮動脈を結紮し, 病巣除去後にMTXを局所投与し治癒に至った1症例を経験したので報告する. 症例は28歳, G=8, P=3, 2回の帝王切開の既往あり. 最終月経からの妊娠7週5日に, 大量性器出血あり前医受診, 上記診断疑い, 8週0日で当院に紹介受診. 子宮頚管前壁筋層内に, 11mmのGSを認め, CRL4.5mm, FHB陽性で帝王切開瘢痕部妊娠と診断. s-HCGは23792mIU/mLであった. 子宮温存希望強く, 翌日MTX全身投与. 治療効果が出る前に, もっと短期間で治癒する治療方法を希望したため, 9週0日で腹腔鏡を施行した. 左右の子宮動脈を結紮後に膀胱を剥離し, 頚管の妊娠部位を除去後吸収糸で修復し, 頚管にMTXを局注した. 出血量は150mlで術後は著変なく, 術後3日目に退院した. 術後2週でs-HCGは162.5mIU/mLまで下降し, 大量性器出血も無く経過している. その後の妊孕性についてはまだ結果はでていない. 本術式はMTX療法に比べて大量出血短期に根治が望めるため, 長期間にわたる大量出血や子宮破裂のリスクを軽減できる. 術中の大量出血の心配はあるが, 子宮動脈結紮を併用し回避できた. 腹腔鏡手技的には容易ではないが, 子宮温存を希望するケースの治療の1オプションになりうると思われた. |
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ISSN: | 1884-9938 |