子宮, 卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術の術前管理指針~術後悪性診断5症例を省みて

【緒言】腹腔鏡下手術は, その飛躍的な技術の進歩により, 既に良性疾患のみならず, 悪性疾患をも対象としつつある. しかしながら, 術前の良悪性診断は, 術式の選択や予後判定を規定する上で, 最も基本的な診断項目である. 腹腔鏡下手術の対象疾患において, over diagnosisは低侵襲であるメリットが活かせず, under diagnosisは根治性を損なう. 当院で経験した術後悪性診断された5症例を中心に, 術前管理について考察する. 【方法】2006年4月までの4.5年間で, 当院で腹腔鏡下手術を施行した702例のうち, 子宮, 卵巣腫瘍計541例を対象とした. 内訳は子宮腫瘍83例...

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Hauptverfasser: 桜井明弘, 川原康緒, 杉山真理子, 木村美葵, 坂本愛子, 山田美恵, 鈴木正明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【緒言】腹腔鏡下手術は, その飛躍的な技術の進歩により, 既に良性疾患のみならず, 悪性疾患をも対象としつつある. しかしながら, 術前の良悪性診断は, 術式の選択や予後判定を規定する上で, 最も基本的な診断項目である. 腹腔鏡下手術の対象疾患において, over diagnosisは低侵襲であるメリットが活かせず, under diagnosisは根治性を損なう. 当院で経験した術後悪性診断された5症例を中心に, 術前管理について考察する. 【方法】2006年4月までの4.5年間で, 当院で腹腔鏡下手術を施行した702例のうち, 子宮, 卵巣腫瘍計541例を対象とした. 内訳は子宮腫瘍83例, 卵巣腫瘍458例で, 基本的に術前にMRIを施行し, ほとんどの症例で良悪性診断のためガドリニウム造影を行った. 当科では腹腔鏡下手術は基本的に良性疾患を対象とし, 境界悪性と考えられる卵巣腫瘍は付属器切除術を選択している. 【結果】対象症例の術後病理組織診断において, 悪性と診断されたものが6例あった. 4例は境界悪性の粘液性卵巣腫瘍, 2例は未熟奇形種(G1)で, 子宮腫瘍では1例もなかった. 6例中3例は嚢腫摘出, 3例は付属器切除術で, うち1例は術前に境界悪性腫瘍と診断していた. 付属器切除の2例はそれぞれ, 9000, 1200gの巨大腫瘍で, 臍部open法で腫瘍内容を体外から直接吸引し, 内容液が漏出しないよう工夫した. 未熟奇形種の2例はいずれも付属器切除を追加して行った. 【考察, 結語】術前良悪性診断で最重要視しているのはMRIにおける, ガドリニウム造影効果の有無である. 明らかな造影効果のある充実部分を有する腫瘍は悪性と診断し, 腫瘍径や腫瘍マーカーは参考所見にとどめている. この6症例中1例ではわずかながら腫瘍内隔壁に造影効果が認められていたものの, 5例では造影効果は認められず, 術前診断の限界例と考えられた.
ISSN:1884-9938