異型ポリープ状腺筋腫内に発生した類内膜腺癌6症例の診断・治療におけるTCRの有用性

【目的】異型ポリープ状腺筋腫Atypical Polypoid Adenomyoma(APAM)は, 生殖可能年齢婦人の主に子宮体部下部に有茎性ポリープ状に発生することが多く, しばしば不正性器出血と不妊を伴う. APAM内に類内膜腺癌が発生し粘膜面を越えて浸潤する症例も報告されており, 妊孕性温存の可否を的確に判断することが求められる. 今回我々は, APAM内に類内膜腺癌grade1が発生した6症例を経験し, その診断と治療におけるtranscervical resection(TCR)の意義について後方視的に検討した. 【方法】6例に対して術前に施行した子宮鏡, MRI所見を検討した....

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Hauptverfasser: 進伸幸, 川口牧子, 市川義一, 末盛友浩, 平沢晃, 玉田裕, 阪埜浩司, 鈴木淳, 青木大輔, 吉村泰典
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】異型ポリープ状腺筋腫Atypical Polypoid Adenomyoma(APAM)は, 生殖可能年齢婦人の主に子宮体部下部に有茎性ポリープ状に発生することが多く, しばしば不正性器出血と不妊を伴う. APAM内に類内膜腺癌が発生し粘膜面を越えて浸潤する症例も報告されており, 妊孕性温存の可否を的確に判断することが求められる. 今回我々は, APAM内に類内膜腺癌grade1が発生した6症例を経験し, その診断と治療におけるtranscervical resection(TCR)の意義について後方視的に検討した. 【方法】6例に対して術前に施行した子宮鏡, MRI所見を検討した. 他院でTCRを施行された1例以外の5例の術式は, 2例に対してTCRとD&Cを, 1例にD&Cのみを, TCR導入以前の1例には開腹し子宮壁を切開し腫瘍摘出とD&Cを施行し, 妊孕性温存希望がない1例には開腹子宮全摘+両側付属器切除を施行した. 子宮を温存した5例に対しては術後に高用量medroxyprogesterone acetate(MPA)療法を行った. 【結果】術前内膜組織診の時点で腺癌合併APAMを正診し得たのは6例中3例のみで, TCR前の診断は困難であった. 6例中5例において内膜掻爬にてポリープ病変以外の内膜部分に腺癌や異型内膜増殖症が確認された. 1例ではAPAMの茎部の切除標本にて腺癌が確認されなかったので, 筋層浸潤がないと判断しMPA療法の適応とした. MPA療法を行った腺癌合併APAM5例は4~9ヶ月のMPA投与により, いずれも一旦は寛解をみた. 1例は妊娠出産に至り, 2例は子宮内に再発した. 【考察】APAM内に腺癌を合併するか否かの診断には, 内膜組織診とTCR標本の詳細な病理観察が必要であり, 内膜掻爬にて他の内膜病変の有無にも注意が必要である. またAPAMに腺癌を合併した症例は筋層浸潤の有無を確認するため, APAM茎部をTCRにより切除するのが望ましいと考えられた. さらにTCR施行部位以外の内膜病変(腺癌または異型内膜増殖症)が存在する場合は特にMPA療法後の再発に留意する必要がある.
ISSN:1884-9938