腹腔鏡下卵管線状切開術は胎芽心拍陽性の子宮外妊娠にも有効か?‐第2報

【目的】腹腔鏡下卵管線状切開術は卵管温存療法として有用な治療法であるが, 血中hCGが10.000IU/L以上, または胎芽心拍陽性例は卵管切除が望ましいとする報告が多い. 今回, われわれは患者の同意の下に, 胎芽心拍陽性の卵管妊娠例に腹腔鏡下卵管線状切開を試み若干の知見を得たので報告する. 【方法】症例は過去6年間に腹腔鏡下手術を行った子宮外妊娠患者115例のうち胎芽心拍陽性でかつ卵管線状切開を希望した10例である. 原則として, 気腹下に卵管間膜へ50倍希釈Vasopressin 2-5IUを局注した. 線状切開は, 卵管間膜対側を2-4cm切開し鈍的に着床部を除去後, 卵管漿膜を縫合閉...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2006, Vol.22 (1), p.117-117
Hauptverfasser: 河村幸恵, 河村俊彦, 儀保晶子, 新谷光央, 井元有紀子, 貴島佳子, 中江光博, 山崎英樹, 松尾隆志, 沖利通, 堂地勉
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】腹腔鏡下卵管線状切開術は卵管温存療法として有用な治療法であるが, 血中hCGが10.000IU/L以上, または胎芽心拍陽性例は卵管切除が望ましいとする報告が多い. 今回, われわれは患者の同意の下に, 胎芽心拍陽性の卵管妊娠例に腹腔鏡下卵管線状切開を試み若干の知見を得たので報告する. 【方法】症例は過去6年間に腹腔鏡下手術を行った子宮外妊娠患者115例のうち胎芽心拍陽性でかつ卵管線状切開を希望した10例である. 原則として, 気腹下に卵管間膜へ50倍希釈Vasopressin 2-5IUを局注した. 線状切開は, 卵管間膜対側を2-4cm切開し鈍的に着床部を除去後, 卵管漿膜を縫合閉鎖して行った. 卵管温存できた6例(温存群)と術中に出血が多く卵管切除に至った4例(切除群)について, 妊娠週数, 血中hCG値, 卵管長径などを比較し, さらに術後3-6ヶ月で温存群の子宮卵管造影による患側卵管疎通性も検討した. 統計学的解析はMann-Whitney-U検定で行った. 【成績】温存群と切除群で, 平均妊娠日数(日)は, それぞれ, 49±2.1, 57±14.4(NS:not significant), 術前平均血中hCG値(IU/L)は, 7856±2123.7(4200-27000), 9700±3011.6(7100-13000)(NS), 平均卵管長径(cm)は, 3.1±1.68, 4.3±1.26(NS)であった. persistent ectopic pregnancyは両群とも認めず, 卵管温存例における術後の患側卵管疎通性はすべて良好であった. 【結論】たとえ胎芽心拍陽性で術前血中hCG濃度が10000IU/L以上の卵管妊娠症例でも卵管線状切開による卵管温存が十分可能であることをはじめて明らかにした.
ISSN:1884-9938